たとえ短時間でも、基礎練習を毎日。

たとえ短時間でも、基礎練習を毎日。
取材班:
普段生徒さん達はどんな練習をされているんですか?
羽地先生:
基礎練習がほとんどです。ハーモニーの練習とか音階練習のトレーニングがほとんどです。それは誰でも出来るものではありません、出来る生徒にさせています。「もっとこんな音を出そう、もっとこんな音を出そう」って音の音色を合わせていますよ。今は定期演奏会の前なので、基礎練習は少なめにし、後は曲の練習をしています。市尼の吹奏楽部は普段から基礎練習をしっかりしているので、基本の音はできています。だからいざ曲をやらせても早いです。譜読みも早いし、すぐ対応できる。もう懐メロからマーチ、クラシック、何でも演奏します。幼稚園や保育所にも演奏に行きますよ。保育所なんかは子どもの歌や「マルマルモリモリ♪」をやったりします。そうかと思ったら、老人ホームで戦前の曲を演奏します。楽譜を10曲くらい与えたら、翌日にはすぐ吹けますからね。でないと間に合いません。他校では、前年の12月くらいからコンクールの自由曲の練習を始めるところもあるみたいですけど、市尼はその年の5月ぐらいに曲を決めます。それどころかコンクールの前日でも他のことをやっていますからね。コンクールだけに頼ってしまったら、勝ち負けが全てになってしまうので音楽が楽しくないと思うんです。だからいろんなことに挑戦しています。
取材班:
これだけ本番が多いと練習も大変だと思うのですが、朝練などをされているのですか?
羽地先生:
朝も昼もしないですね、練習は放課後だけです。夏は外が明るいので大体18時半から19時ぐらいまで。冬になったら17時半ぐらいまで練習します。補習などで冬の平日は結局1時間ぐらいしか練習できませんね。楽器の「持ち方」と「たたき方」とか、「ここが悪かったら絶対吹けないので、それを直しなさい」などアドバイスします。楽器は最初、音は鳴ります。だけど後々のことを考えると、ダメなところは早目に直しておかないといけないんです。いつまでたっても伸びない生徒はそれが直っていない、逆にそれが直ってくる生徒は伸びます。実は今いる部員は全員が中学校の時から何らかの楽器をやっていた生徒達ばかりで、全くの初心者はいないんですよ。1年生は本当にゼロです。2・3年生の中には元々中学では違う楽器をやっていたけど、この学校に入ったら部員が多いので別の楽器を始めたものが何人かいます。別に入部の条件に経験者っていう項目があるわけではないんですけど、今はそんな状況です。
たとえ短時間でも、基礎練習を毎日。

演奏会準備の確認をする羽地先生

取材班:
土日などの練習は?
羽地先生:
試験前は休みにしますが、あとは大体毎週練習しています。夕方まで練習を行う日もありますが、大体は朝から昼までです(コンクール前は例外です)。しかし生徒達はなかなか帰らないんですよ。平日も19時までの練習が終わってもすぐに家に帰らない。だからいつも「早く帰りなさい」って怒るんです、「お前ら家が無いんかい」って(笑)。とにかく生徒達は学校が大好きです。私は文武両道は大事だと思っています。だから生徒達には言うんです、「クラブばっかりはあかん、勉強は絶対せなあかんぞ」また、「家のことも大事やから、家のことをしなさい」って言ったりしますね。すると、そういう子は自分の判断でみんなの邪魔にならないように静かにそっと抜けて帰りますよ。
取材班:
普段先生が指揮を振られるのは、合奏の時だけですか?
羽地先生:
そうです。生徒が振るのはマーチングの時ぐらいですね。マーチングなどの指導については、寺西先生に見ていただいています。それからもう一人岩山先生という方にもお願いしています。定期演奏会では私と寺西先生と岩山先生の3人で指揮を振ります。あと、やっぱり部員に女の子が多いので、何かあった時のために野瀬先生という若い女の先生にも居てもらっています。ちなみに、うちの部の定期演奏会でずっと司会をしてくれている坪井さんは、尼崎市立成良中学校の音楽の先生をされていますが、実はここの吹奏楽部のOGなんですよ。
取材班:
先生が選ぶコンクールの自由曲はクラシックが多いようにお見受けしますが。
羽地先生:
そうです、もうそればっかり。ややこしいトンチャンした曲は僕が嫌いだから(笑)。でも、今年の3月の尼吹連定期演奏会では、C.T.スミスの『フェスティバル・ヴァリエーション』を、その前の年は『華麗なる舞曲』をやりました。来年の3月の演奏会の曲ももう決めているんですよ。『ルイ・ブルジョワの賛歌による変奏曲』っていう高度なテクニックのいる曲。それで生徒を鍛えて別の曲でコンクールに行く。だからコンクール前の5月頃になって初めて曲を演奏しても、1か月半ぐらいあったら大丈夫です。プロはそうだからね、毎日一つの曲をずーっとやるわけじゃないんだから。基礎さえしっかりやっていたら、後は楽譜が読めたら一緒です。ちなみに市尼では機械を使ってのチューニングはほとんどしません。部員数が百数十人いますので「まずはB♭を合わせます」ってそんなことをやっていたら1時間ぐらいかかります。だから、ハーモニーディレクターの音に合わせ全員でチューニングをします。簡単に自分達同士で音を合わせます。1年生はすぐにはできないけど、すぐに慣れてきます。コンクール本番の時も同じで、チューニングはほとんどしないですね。