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演奏会レポート【7】 スペシャルレポート 全日本吹奏楽コンクール 〜高校後半の部〜
■レポーター: 京都府立鳥羽高等学校吹奏楽部 中西さん(高2生・ファゴット)
    小辻さん(高2生・オーボエ)
  「We Love Brass」編集部  
■演奏会: 第55回全日本吹奏楽コンクール 
平成19年10月21日(日)
高校後半の部
普門館(東京都杉並区)
     
2007年10月21日(日)、普門館で行われた第55回全日本吹奏楽コンクール・高校後半の部の演奏を聴いてきました。中学・高校の部では1996年より前後半入替制を導入しており、残念ながら全ての高校生の演奏を聴くことは出来ませんでした。しかし、どの高校も演奏レベルが高く(全国大会なら当然ですよね)、たった12分間の演奏なのに感動しきりでした。実際に、高校後半の部では金賞団体が6団体(14団体中)と多く、審査結果からもレベルの高さを窺い知ることが出来ます。各支部大会から本番までの約1〜2ヶ月間、更なる練習を積まれたのでしょう。演奏する曲に関する深い理解が、どの高校からも伝わってきました。
  今回は特別企画として、京都府立鳥羽高等学校吹奏楽部の中西さんと小辻さんの現役高校生2名とともに、全国大会の演奏レポートに行ってきました。
 
1.東北代表 宮城県泉館山高等学校(宮城県)
課題曲:W マーチ「ブルースカイ」
自由曲: 鳳凰が舞う 〜印象、京都 石庭 金閣寺〜 (真島 俊夫 作曲)
成績: 銅賞
●中西さん:やっぱり全国大会はすごいなぁと思いました。初めて聴くからというのもあったのですが、すごく圧力を感じました。課題曲は私達が演奏した曲と同じWだったのでちょっと緊張して聴いていたのですが、全然違うなぁと思いました。出だしから強弱もはっきりしていて良かったです。シンバルの叩き方がカッコいいなぁと思いました。自由曲は「京都」がテーマだったので、興味がありました。ステージに何かの木のような物があり、それを使って音を表現しているのも工夫されていて良かったと思います。特に、打楽器が効果音的な役割が多く、それが良かったです。結果は、銅賞でしたが、聴いていて楽しかったです。
●小辻さん:初めての全国大会で最初に聴いた学校だったのですが、課題曲の出だしが始まった時から衝撃的でした。音が金管と木管共にやわらかい軽い音色で、「ブルースカイ」の感じがよく出ていてすごいと思いました。クラリネットやフルートなどの木管のサウンドが厚くて、トリオなんかのピッチも皆で合っていました。同じ木管楽器として見習いたいなと、改めて頑張りたいと思いました。金管と木管とパーカッションで対立せずに、互いに交じり合った曲で、良かったです。自由曲は「京都」がテーマの「鳳凰が舞う 〜印象、京都 石庭 金閣寺〜」という曲だったのですが、低音の音が鋭くて、管楽器の伸ばしの音がスピード感があって迫力のある演奏でした。伴奏とメロディがうまくかみ合っていて、ソロも引き立っていました。途中で笹みたいな本物の木を揺らして、風で木が揺れる音を表現していて、こういう表現もあるのかと勉強になりました。京都の和風な雰囲気が出ていて聴いていて良かったです。

2.中国代表 広島国際学院高等学校(広島県)
課題曲:W マーチ「ブルースカイ」
自由曲: バレエ音楽「シンデレラ」より (S.プロコフィエフ 作曲)
成績: 銅賞
●中西さん:この学校も課題曲Wでした。低音の4分音符が固めだなぁと思いました。私は、もうちょっと音に余韻がある方が好きです。トリオからのシンバルの裏拍が少しくずれたような気がしましたが、ユーフォニアムなどのオブリガートはキレイでした。自由曲は、ホルンのメロディが印象的でした。シンデレラのストーリーを思い浮かべながら聴いていたら、色々な場面が浮かんできて面白かったです。ワルツになった時の低音がいいなぁと思いました。トランペットがミュートをつけてもすごい音量が出ていて、私の席がステージに近いからかもしれないけど、ちょっと突きささってくる感じがしました。
●小辻さん:金管が曲中にわたってのびのびとした音色で、とにかく金管のスタミナがすごかったです。課題曲では、アーティキュレーションがはっきりしていて、聴いていてスタッカートとかが分かりやすく、マーチの軽い感じが出ていました。やっぱりマーチは軽くて明るく演奏しようとする事でこんなにも違うものなんだなと思いました。自由曲はバレエ音楽の「シンデレラ」で、今年の京都府予選とか関西大会でも結構多かった曲なのですが、やっぱり全国大会は一味違って、p(ピアノ)の所でも音がぼやけずにハッキリと聴こえて、8分音符のアタックや細かい所がそろっていました。激しい場面はすごい迫力で、静かな所は静かに吹き分けていたのがすごかったです。盛り上がったりする所では、楽器ごとはすごく上手いし音も出ていたけど、各自で主張してて木管と金管で対立している感じがしました。舞踏会のワルツは3拍子で難しいのに、フレーズがのびのびしてて上手かったです。

3.西関東代表 埼玉栄高等学校(埼玉県)
課題曲:T ピッコロマーチ
自由曲: 歌劇「カヴァレリア・ルスティカーナ」より (P.マスカーニ 作曲)
成績: 金賞
●中西さん:課題曲の出だしから、聴きたくなるような演奏でした。表と裏の拍子が全然ぎこちなくなくて、軽く進んでいくように聴こえました。パーカッションの音の響きがすごい残るなぁと思いました。自由曲は、まず印象に強く残っているのはトランペットのソロです。舞台から聴こえないから、どこからかと探していると、舞台の裏から出て来ました。そういう工夫も、すごかったです。途中で歌があったけど、すごくキレイで、近くにいるのにまるで遠くの山から聴こえてくる様な印象を受けました。演奏の上手い学校は歌も上手いんだなぁと改めて思いました。強弱がすごくて、小さくても小さくなくて、大きくてもうるさくない、いい演奏でした。特に金管楽器が上手いと思いました。最後、迫ってくる感じが良かったです。何回聴いても、飽きない演奏でした。
●小辻さん:まずマーチがすごく軽くて、聴いていてびっくりしました。音の重なっていく所が自然にまとまっていてすっきりしていました。金管の伸ばしの音をはじめ、どんな所でもバンド全体の息のスピードが速くて、課題曲も自由曲も迫力ある演奏でした。自由曲の途中で、トランペットのソロを吹いている人が舞台袖で吹いていて後に入場してきた所はすごいアイデアだなと思いました。金管のファンファーレが、高音もハッキリしていてサウンドの厚さもすごく、盛り上がり方も上手くて感動しました。途中歌声が入っている場面があったのですが、これがまたすごくキレイにハモってて、ソロを引き立たせていて良かったです。全体の音色がやわらかくてのびのびしていて、曲の場面場面のイメージがはっきりしていました。最後の盛り上がりがハーモニーなんかもすごくピッチが合っていて、めちゃくちゃ良かったです。指揮者の先生も熱くて、聴けて良かったです。

4.東海代表 光ヶ丘女子高等学校(愛知県)
課題曲:V 憧れの街
自由曲: バッハの名による幻想曲とフーガ (F.リスト 作曲)
成績: 金賞
●中西さん:この学校は女子だけなのに、音がパワフルですごかったです。光ヶ丘女子高等学校の演奏を見て印象に残ったのは、フルートのレベルがすごく高くて音もよく聴こえてきたところです。自由曲の木管の高音楽器の高い音のメロディが、全然キンキンしていなくて、聴いていて気持ち良かったです。ドラなどのパーカッションも面白いなぁと思いました。曲の雰囲気もよく出ている気がして、聴いているうちに不思議な気持ちになりました。あと、ユーフォニアムとファゴットのかけ合いやサックスにつながっていくのが、上手いなぁと思いました。
●小辻さん:課題曲Vの「憧れの街」は結構難しい曲なのに、最初の出だしから上手くて、すごかったです。強弱が上手くて、聴いていてf(フォルテ)とかp(ピアノ)とか分かったので、すごい技術だなと思いました。よく木管でメロディとかがあるとピッチとか大変なのに、お互いに音色が交じりあっていて、とても良い音になっていました。自由曲の最初のコントラバスの迫力がすごくて印象的でした。低音のパートが、音を出しすぎでもなく埋もれてもない絶妙な音量と音色で全体を引き立てていてすごいと思いました。途中にあるファゴットのソロが新鮮で、音色もなめらかで良かったです。木管は連符で金管がメロディの箇所は互いに対立せずに上手い具合になっていて、みんな音をよく聴いているんだなと思い、私ももっとみんなの音をよく聴かないとダメだなぁと勉強になりました。クライマックスの盛り上がり方がすごく、金管木管共に音が澄んだ音で、音の粒もしっかりしてて、聴いてて安心する演奏でした。

5.関西代表 明浄学院高等学校(大阪府)
課題曲:U コンサートマーチ「光と風の通り道」
自由曲: 科戸の鵲巣−吹奏楽のための祝典序曲 (中橋 愛生 作曲)
成績: 金賞
●中西さん:関西の代表だったので、興味がある学校でした。最初、課題曲が始まった時、まろやかだなぁという印象を受けました。チューバなどの低音楽器が1つ1つの音に余韻があって、いいなぁと思いました。ピッコロのソロがちょうどいいくらいの音量で自然に耳に入ってくる感じが良かったです。はっきり吹くところと、まろやかに吹くところの区別があって良かったです。自由曲は、すごい雰囲気が出ていました。パーカッションの効果音みたいなのが、いいなぁと思いました。低音がすごくサウンドが厚くて、聴いていて気持ち良かったです。迫ってくる感じが良かったです。
●小辻さん:音の出だしと最後が丸くなっていて、全体的に爽やかな感じの学校だなと思いました。マーチではメロディと裏メロがちょうど良い感じに流れていくようですごかったです。木管がp(ピアノ)になっても丸くはっきりさを残したまま吹いていたので、さすがだと感激しました。課題曲でも自由曲でもパーカッションの人たちがみんな楽しそうにしていたのが印象的でした。結構忙しそうだったのにみんな楽しんでいて、やっぱり音楽はまず楽しむことが大事なんだなと思いました。自由曲では激しい場面が多かったのですが、木管と金管の息のスピードが合っていて、迫力のすごい演奏でした。クラリネットやサックスが吹いたまま半音下げることをやっていました。難しい技術なのにとてもキレイな音色で、すごく大変そうに思いました。金管はミュートをつけているのによく音が飛んでいて、それでいてのびのびとした音色で、聴きごたえバツグンでした。ff(フォルテッシモ)とかでもバンドが1つにまとまっていたのがすごかったです。

6.東海代表 愛知工業大学名電高等学校(愛知県)
課題曲:V 憧れの街
自由曲: バレエ音楽「中国の不思議な役人」より (B.バルトーク 作曲)
成績: 銀賞
●中西さん:課題曲では、表拍と裏拍のタイミングが聴いていて少しぎこちなかったように、私は感じました。音量は大きかったと思います。自由曲は曲名通り「不思議」な雰囲気がしました。クラリネットのソロの部分でコントラバスが静かに演奏しているのが、いいなぁと思いました。トロンボーンのグリスタンドのタイミングがピッタリだったので、こんなに合わせられることにびっくりしました。金管、特にチューバが高音をはずした箇所が、目立って聴こえました。
●小辻さん:課題曲「憧れの街」の冒頭部分は音の広がる感じと金管の迫力があって、曲の始まりにインパクトがありました。メロディや伴奏の音の切りが上手く終わっていて、丸くてすっきりとした音色で演奏されていました。曲中の2拍3連が走らずに上手くはまっていました。強弱のつけ方が上手くて、最後には響いて残っていました。自由曲は最初から激しめの曲なのに、しっかりと音が出ていました。課題曲もすごくはっきりと吹いていたのに、すごい体力だなと思いました。木管の連符もすごくて、きっと練習は大変だったんだろうなと思いました。ここの学校は金管がとても素晴らしく、トランペットをはじめ、トロンボーンやホルン、ユーフォニアム、チューバも音がしっかり聴こえてきましたが、盛り上がった箇所で少しつっぱり感が多く、惜しいなぁと思いました。ソロの所も速い動きなのに音がこもっていなくて、1つ1つの音がはっきりと聴こえてきたので、すごかったです。ここまで迫力を出せるとは、すごい力だなと思いました。

7.北海道代表 北海道札幌白石高等学校(北海道)
課題曲:W マーチ「ブルースカイ」
自由曲: 交響曲第2番「キリストの受難」 (F.フェラン 作曲)
成績: 銀賞
●中西さん:課題曲の低音の4分音符に強拍・弱拍があったのが良かったです。低音が大きめで、私はいいと思いました。トランペットのミスが1回あって、やっぱりよく耳に入ってきました。最後2小節くらいがとてもキレイでした。自由曲の「キリストの受難」では、音色が優しく感じました。ゆっくりした部分から激しい部分への展開が上手かったです。全体的に音に厚みがあり、サックスと他の人との受け答えも良かったです。ずっと聴いていたら、自然を想像するような音色で、また聴きたいと思いました。
●小辻さん:まず、音がやわらかくてあったかいバンドだなとびっくりしました。課題曲ではトランペットの出だしがパーンと響いていて、「ブルースカイ」の爽やかさが出ていて軽やかでした。木管のメロディもあったかい音色で、金管との裏メロや伴奏と上手くとけ込んでいたのがすごいなと思いました。自由曲の「キリストの受難」は、昨年鳥羽高校もコンクールで演奏したのですが、編曲が違っていたので新鮮でした。フルートソロやトランペットソロで、こんなにやわらかく吹けるんだなとしみじみ感動しました。静かな所だけでなく、激しい場面でもff(フォルテッシモ)なのに音が割れてなくて、高音もキツくなくて、透きとおった音で上手かったです。特にクレッシェンドとデクレッシェンドが上手くて、p(ピアノ)からf(フォルテ)や、f(フォルテ)からp(ピアノ)になる所がわざとらしくなく自然でした。同じ事をやっている人同士で息が合い、メロディと伴奏がお互い引き立て合っていて、とてもまとまったバンドだなと思いました。

8.北陸代表 福井県立武生東高等学校(福井県)
課題曲:W マーチ「ブルースカイ」
自由曲: バレエ音楽「シンデレラ」より (S.プロコフィエフ 作曲)
成績: 銅賞
●中西さん:1番最初の楽器の上げ方がカッコよかったです。少し低音の4分音符が固くて、私はもう少し余韻がある方が良かった様な気がしました。席がステージに近かったからなのかもしれませんが、トランペットの音がキツく感じました。自由曲は、広島国際学院高等学校吹奏楽部と同じ「シンデレラ」でしたが、演奏する学校が違うとまた違うように聴こえてくるのが面白いなぁと思いながら聴いてました。強弱が結構ついていて楽しかったです。減点にはならないかもしれませんが、リードミスが多いのが気になりました。
●小辻さん:課題曲のマーチ「ブルースカイ」は、初めから終わりまで真っ直ぐで透き通った音ですごかったです。低音の迫力もすごくて、次の自由曲でも結構金管が大変そうなのに、最後まで音が垂れずに吹き切っていたので、すごい体力だなと感心しました。木管16分音符やパーカッションの鍵盤の連符とかの細かい所が合っていたので、やっぱり細かい所も合わせる事が大事だなと思いました。低音のきざみが軽い感じで良かったです。軽い所は軽く、重い所は重く区別が出来ていたので、良いなと思いました。迫力はすごくありましたが、ちょっと強弱が分かりづらかったのが惜しいなと思いました。音が流れていく感じがキレイなのがすごかったです。伴奏が軽くてテンポもキープされていたので、安定感のある演奏でした。

9.東北代表 福島県立湯本高等学校(福島県)
課題曲:V 憧れの街
自由曲: 管弦楽のための協奏曲 (三善 晃 作曲)
成績: 銀賞
●中西さん:同じメロディが違うパートへと変わっていく時に、吹き方が違ったような気がしたので、もう少し前のメロディとつながっていたらいいなぁと思いました。でも聴いていて全然飽きませんでした。自由曲は、課題曲とはまた違った音で良かったです。見ていて、聴いていて、印象に残ったのは、鍵盤楽器を4本のバチで叩いていたことです。上げる高さ、叩くタイミング、動き、下ろすスピード、それらがみんな同じだったので、ずっと見てしまいました。あんなに揃えることが出来るんだなぁと思いました。あと、チューバの高音がキレイでした。私個人的には指揮者の振り方が好きでした。
●小辻さん:課題曲「憧れの街」は音色が明るくとても曲の雰囲気が出ていて、聴いていて楽しかったです。音も丸くってやわらかくて、うまい具合にバンド全体がまとまっていて良かったです。曲中にパーカッションの人達に笑顔があって、楽しさが伝わってきました。自由曲では音がなめらかにつながっていて、とてもまろやかさが出ていたと思います。出だしがとても丁寧で、あんなに小さい音量で音を伸ばしていても音が全然ゆれてなかったのがすごいと思いました。途中の曲が盛り上がる所では、さっきまで静かなフレーズだったのに急に迫力のある演奏に変わったのでびっくりしました。低音の音色がすごく丁寧で、上手くバンドの音を引き出していたと思います。伴奏のパートが前に出すぎるといった事もなく、メロディのパートはしっかり出ており、上手く1つの音楽になっていたのがすごかったです。全体的にとても丁寧で聴きやすい学校だなと思いました。

10.九州代表 福岡工業大学附属城東高等学校(福岡県)
課題曲:V 憧れの街
自由曲: 歌劇「トゥーランドット」より (G.プッチーニ 作曲)
成績: 金賞
●中西さん:ここの学校のマーチ(課題曲)は、はっきりしていると思いました。でもぶちぶちと切れることもなく、ちょうどいいぐらいだったと思います。オーボエのソロのビブラートのかけ方などがキレイでした。自由曲は「トゥーランドット」で私もよく知っている曲だったのでドキドキしていました。まず、始まりが堂々としていて、始まった瞬間から鳥肌がたちました。トランペットの低音パートの音がいいなぁと思いました。音量も大きくて迫力がありました。各パートの掛け合いやメロディの移り変わりが上手いと思いました。前のパートを受け継いでいるなぁという感じがしました。パーカッションを見ていたらバチの上げ下げが曲に合っていて、気持ちが込められているのが伝わってきました。本当にキレイで、すごく良かったです。
●小辻さん:課題曲のマーチ、自由曲共に音が透き通っていたのがすごかったです。課題曲「憧れの街」では、同じ曲を演奏していた学校よりもテンポが速めで新鮮な感じがしました。音がスラーの所はなめらかで、スタッカートの所はハッキリしているけどキツくなくて、すごい技術だと思いました。メロディの楽器同士がまとまっていて、低音や伴奏のパートもメロディをよく聴いていて、とてもまとまっている演奏だと思いました。自由曲の「トゥーランドット」は、金管の迫力がとにかくすごくて、あんなに大きく吹いていたのに音が全然伸ばしの音とか垂れてなくてすごい体力だと思いました。動きにみんなの感情がこもっていて、気合いが伝わって来ました。木管の細かい所も息が真っ直ぐ通っていて、キレイにフレーズが流れていて良かったです。そして盛り上がった所ではサウンドの厚さと息のスピードが速く、迫力のある感動的な演奏でした。

11.四国代表 愛媛県立北条高等学校(愛媛県)
課題曲:U コンサートマーチ「光と風の通り道」
自由曲: 科戸の鵲巣−吹奏楽のための祝典序曲 (中橋 愛生 作曲)
成績: 銀賞
●中西さん:課題曲が始まってすぐに、音厚がいいなぁと思いました。クラリネットのメロディの時に全員の動き方が一緒でカッコよかったです。動きを揃えたら音も揃うのかなぁと思いました。私は北条高校のユーフォニアムの音色が好きでした。自由曲は、始まりの部分がカッコよかったです。歯切れもあって強弱も良かったです。クラリネットは鳥をイメージするような部分があって、面白かったです。私はこの曲を聴いて、自分が森の中にいて空に鳥がいる様な感じに思えました。パーカッションが色々と工夫されている感じが良かったです。
●小辻さん:音が明るくハッキリした感じで、のびのびした演奏でした。マーチでもそうですが、曲を演奏している最中に音を聴いていて分かるくらい明るい音色で演奏するのはとても難しいことなので、すごいと思いました。低音が上手く丸くきざんでいて、良い感じでした。自由曲では、トランペットがミュートをつけているのにすごく聴こえてきて、すごかったです。激しい感じの所でも、音がパーンとまっすぐ飛んでいたので迫力がすごかったのですが、静かな所でも音に厚みがあるので小さい音でもしっかり聴こえてきました。木管の高い音も揺れずに真っ直ぐで、ハモる所がキレイにひとまとまりになっていたので、いい感じに響きがありました。最後のメロディの所では金管、木管、パーカッションが一つになっていて、迫力があるのにキレイに聴こえ、芯のしっかりした音ですごいなと思いました。

12.西関東代表 埼玉県立与野高等学校(埼玉県)
課題曲:U コンサートマーチ「光と風の通り道」
自由曲: 交響詩「ローマの祭」より V.十月祭 W.主顕祭 (O.レスピーギ 作曲)
成績: 金賞
●中西さん:音がやわらかいと思いました。個人的には、クラリネットのメロディの吹き方が好きでした。トランペットのミュートをつけていた音も良かったです。ピッコロのソロも、スピード感はあるのに優しい音だと思いました。自由曲の「ローマの祭」は、雰囲気が良かったと思います。聴きやすくて、テンポの変わり方が自然に変わっていくように感じました。全体的に音がキレイで、特に金管楽器がキレイだと思いました。
●小辻さん:コンサートマーチ「光と風の通り道」は、木管、金管共に丸い音を出し、マーチらしくとても軽やかで、曲のイメージ通りの爽やかな演奏でした。みんなお互いに音を聴き合っている感じで、バンド全体が協力しあっていてすごい学校だなと思いました。課題曲も良かったのですが、自由曲はもっとすごくて、まず音がまろやかなのにびっくりしました。ホルンやユーフォニアムの音色が丸いのにハッキリと1音1音聴こえてきているし、トランペットも連符などを軽く吹けていてすごかったです。また、木管と金管がよく合っていて、合いの手などの8分音符とかもバッチリでした。音量を出す所は出て引く所は引いていたので、曲が聴きやすかったです。うまく伴奏がメロディを埋もれさせずに引き立てていて、バランスが良く、やっぱり吹奏楽はチームワークが大事だなと実感しました。最後の音もビシっと決まっていて、格好良かったです。

13.東京代表 東海大学付属高輪台高等学校(東京都)
課題曲:W マーチ「ブルースカイ」
自由曲: バレエ音楽「ダフニスとクロエ」第2組曲より 夜明け、全員の踊り (M.ラヴェル 作曲)
成績: 金賞
●中西さん:課題曲は、軽くて良かったです。全部の楽器が上手く混ざり合っていて、いいなぁと思いました。トランペットの音色がキレイでした。音量の変え方が、高校後半の部で課題曲Wをやった学校の中では1番良かったと私は思いました。自由曲は音にすごく厚みがあってキレイでした。クレッシェンドして大きくなった音でも、全然うるさい音ではなくて優しい感じに聴こえてきました。どのパートも縦がピッタリですごかったです。あと東海大学付属高輪台高校のコントラバスは、よく聴こえてくる気がしました。私、個人ではこの学校のサウンドがすごく良かったです。
●小辻さん:課題曲の「ブルースカイ」は曲のイメージ通り音が澄んでいて、すごくキレイでした。メロディのクラリネットのサウンドは厚く、音色もあたたかく感じました。各パートごとにまとまっていて良かったです。バンド全体のピッチがすごく良くて、全然ずれていなかったことにとても感心しました。自由曲ではハープとフルートが上手い具合に合っていて、お互いそれぞれを引き立て合っている感じがして良かったです。メロディの音色がしっとりまろやかで、聴いていて楽しかったです。メロディのパートの人達も上手かったのですが、低音や伴奏の人も上手くて、伸ばしの音がまっすぐ伸びることでバンドをしっかり支えていました。細かい音符もとてもハッキリ聴こえてきてすごかったです。盛り上がりもすごく、大きく吹いているのに音が広がらず、みんなの音を飛ばす方向がまとまっていたので、とてもキレイな音でした。

14.東関東代表 作新学院高等学校(栃木県)
課題曲:V 憧れの街
自由曲: 「三つのジャポニスム」T.鶴が舞う U.雪の川 V.祭り (真島 俊夫 作曲)
成績: 銀賞
●中西さん:最初の低音の全音符がはっきりと、堂々としていて良かったです。強弱が色んな部分についていたので飽きなかったです。ファゴットとバスクラリネットのソロは、2種類の楽器が吹いてるのが明確に分かってしまったので、もう少し混ざっていたら良かったと思います。自由曲は、曲名の通り、本当に鶴が舞うようでした。日本風な雰囲気がよく出ていて良かったです。楽器に扇子を用いていて面白かったです。Uの「雪の川」はタイトル通り、“水”をイメージさせる音がありました。Vの「祭り」では大太鼓を使うことで祭りの雰囲気がよく出ていると思いました。それを叩いているのも竹のような棒で、奏者の体勢も祭りそのもので、見ていて楽しかったです。工夫も大切だということが分かりました。
●小辻さん:音の始まりがすごく良く、やわらかい音で次の音にちゃんとつながっていました。課題曲の途中のフルート、ピッコロの連符がキレイに流れていて、すごかったです。木管の音が丸くまとまっていて、高音も裏返らずにしっかりと出ていたので、自分もこういう音を出せたらいいなと思いました。動きがとても情熱的で気合いが伝わってきました。自由曲の途中で、パーカッションが扇子をあわせて羽のバサバサっとした音を表現するところは、和風な雰囲気が出ていて良かったです。イングリッシュホルンのソロやソプラノサックスのソロがとても格好よく、フルートソロも和の情景を見事に表現していました。フルートとオーボエのユニゾンが上手く溶け合っており、すごく難しいことをやってのけていることにびっくりしました。和太鼓が斬新で面白かったです。曲をイメージ通りに演奏することが難しい中、ものすごく和風な感じが出ていたので、すごいバンドだと思いました。



全日本吹奏楽コンクールを初めて体験して
●中西さん:普門館の中はとても大きかったです。1階の前席から後ろを振り返ってみると、2階席がすごく広くてビックリしました。私はこんなに大きい会場で演奏したことはありません。演奏はどこの学校もやっぱり上手かったです。音のミスもほとんどなくて、CDの演奏を聴いている様でした。同じ高校生がこんなに出来るんだぁとビックリしました。今年で全国大会に3年連続出場している学校、今年が初出場の学校など色々な学校がありました。でも、どこの学校もとても上手で、3年連続出場しているからといって金賞がとれるとも限らないなぁと思いました。出場校には金・銀・銅のいずれかの賞が必ず与えられますが、各演奏そんなに大きな差はない気がするのに、審査員はどうやって3つの賞を決めているのかとても気になりました。
演奏している時の姿勢や、舞台に入ってくる時の姿勢が堂々としていて素晴らしい学校が多かった様に思います。高校後半の部だけでも14校の演奏があったので、演奏を聴く前は寝てしまうんじゃないかなぁと少し不安でしたが、意外と眠たくならず、14校全てきっちり聴くことが出来ました。結果発表は京都府大会の時と違い舞台上での発表だったので、見ていてドキドキしました。見ている観客の声援も、すごかったと思います。今回全国大会を見に行くことが出来て、本当に良かったです。
●小辻さん:今回初めて全国大会に行ったのですが、まずびっくりしたのは普門館の大きさで、やっぱり全国大会の会場はすごかったです。私達が会場に到着した時ちょうど演奏を終えた学校が記念撮影をしていたのですが、地方大会とは違い在籍する部員全員で撮れるみたいで、全員笑顔で整列していました。会場に入ると、1階で2000人くらい入れそうなのに2階はさらに広く、観客もめちゃくちゃ多かったです。舞台では、どこの学校もテキパキと移動し、堂々とした様子だったので、やっぱりそういう所も大事だなと思いました。金管の上手な学校が多く、ミュートを付けていても音がしっかり届く学校や、ファンファーレがパリっとしている学校など、とても格好いい演奏がありました。木管も音が丸い音色であったかく、どうしたらあんなに丸い音がでるのかと思いました。コンクールの曲にはオーボエソロが多くて、ビブラートのかかった音がよく響いていて上手かったです。来年は私も負けないように頑張りたいと思います。
金賞を受賞した学校はどこも伴奏とメロディのバランスが良く、パート同士お互いの音をちゃんと聴き合って自分の役割をしっかりと果たしていました。当たり前のことですが、やっぱり吹奏楽はみんなでちゃんと協力し合い、チームワークを持って1つの音楽を作ることが1番大事なことだと再確認しました。結構難しい曲だったりすると自分の譜面ばっかりに集中しがちですが、もっと他のパートを聴くことで、観客も演奏しているプレイヤーも楽しい演奏が出来たらいいと思います。今回全国大会に行って勉強になったことがたくさんあったので、この経験を生かして、来年のコンクールでは、普門館へ行けるように頑張ります。


最後に
 今年の全国大会も素晴らしい演奏に出会えました。全ての演奏を聴いた上で取材スタッフとして感じたことは、何が理由で各校このように金・銀・銅と明暗が分かれるのだろうという思いでした。素晴らしい演奏をする団体は何を持っているのか、私なりに少し考えてみました。
◎動きの統率
 大人数のパートにおいて、曲調に合わせて楽器を同じように動かす姿が多くの高校で見られました。金管楽器などではアピールしたいときにベルアップをよく行いますが、おそらく似たようなものなのでしょうね。動きから「この演奏では今、クラリネットを聴かせたいんだ。」という強い意志が感じ取れました。  特に、東海大学付属高輪台高等学校(東京代表)は、演奏者の座席位置を確認する担当者が存在し、演奏前にセンチメートル単位で微調整を行っていました。自分たちのサウンドを客席に届ける方法について明確な主張を持ち、妥協なく実行する姿に感銘を受けました。
◎音のバランス
 福岡工業大学付属城東高等学校(九州代表)の番において、チューバ奏者が4名、コントラバス奏者が3名、次々と舞台袖から出てきました。演奏者数の上限はコンクール規定で決められているのに、どうして低音層を厚くするのか理解出来ませんでしたが、演奏がスタートした途端、その疑問はすぐに解決出来ました。実際、課題曲において低音パートのみのフレーズを聴くと、福岡工大が一番だなぁと感心させるものがありました。  私は低音楽器出身なのでついついそちらに目が行きがちですが、低音パートがしっかりしている学校は音のバランスも良かった気がします。
◎自信
  埼玉栄高等学校(西関東代表)の場合、指揮者が手を動かした瞬間、館内全てが心地よい雰囲気に包まれた気がしました。舞台を凝視して初めて一人一人の演奏者が揺るぎない自信を持って演奏していることに気づき、「これが高校生の演奏なのか?」と驚きを覚えました。動きを揃えるなど、演奏中に演奏者同士の持つルールが特に存在しない感じでしたが、全ての人が姿勢よく、また演奏のアクションにも無駄が一切見当たりませんでした。  最後に明暗を分けるのは、「私たちのサウンドはこうなんだ!」という自信を持っているかどうかなのでしょうね。その自信が姿勢にも表れ、音も遠くまで響くのでは。レベルの高い演奏を聴いて、そのような気がしてきました。

  個人的にはレスピーギのファンなのですが、今年も埼玉県立与野高等学校のお陰で交響詩『ローマの祭』を聴くことが出来ました(ウレシー!!)。しかも、チルチェンセスを演奏せずに十月祭からやるなんて。これこそ、12分に制限されているコンクールならではの醍醐味です。関西から出場した大阪府立淀川工科高等学校、大阪桐蔭高等学校、明浄学院高等学校の皆さんも、お疲れ様でした! 高校生のみなさん、これからも観客の心に響く演奏をお願いします。