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演奏会レポート【12】 全国への狭き門 関西吹奏楽コンクール
■レポーター: 「We Love Brass」編集部
■演奏会: 第59回関西吹奏楽コンクール
平成21年8月30日(日) 和歌山県民文化会館(和歌山県和歌山市)
   
 8月30日、和歌山県民文化会館で行なわれた関西吹奏楽コンクール高等学校の部Aに行ってきました。当日は空も晴れて気持ちよく、会場は入場待ちやチケット購入に並ぶ多くの人々が長い列を作っていました。
 さて演奏の方ですが、やはり各地区の厳しい予選を勝ち抜いてきただけあって、どの学校も豊かな個性溢れる演奏を聞かせてくれました。甲乙つけるのも難しいのですが、中でも印象に残った学校について紹介します。
3 私立大阪桐蔭高等学校 (金賞・代表)
 課題曲はX。パートからパートへのメロディの受け渡しがきれいで、音に関しても一音一音の縦のラインが完璧なまでに合わせられており、「きっちり」という印象を受けました。途中ステップの場面で指揮者の梅田先生がジャンプしたのには驚きましたが、先生の着地の瞬間とバンドのステップがきっちり合っており、その絶妙なタイミング合わせにも感動しました。自由曲の「カルミナ ブラーナより」は、ハーモニーがとても美しく、木管・金管の音もよくブレンドされていて、思わず聴き入ってしまいました。ppやffの音の質も高く、ラストの盛り上がりの音も良く伸びていて、全てが聴きどころという印象。演奏が終わった後、会場がざわめくほどの見事な演奏でした。
7 私立四條畷学園高等学校 (金賞)
 課題曲Wは、薄く軽やかなマーチという印象を受けました。金管が特に上手く、軽やかにまとまった曲に鮮やかな彩りを添えていたと思います。自由曲の「閾下の桜樹 吹奏楽のための」は、テンポの緩急が難しい曲でしたが、縦のラインがぴったり合っていてきれいでした。鍵盤楽器のリズムカルな動きも見事でしたし、ここでもやはり金管の上手さが際立っていた印象を受けました。
8 私立洛南高等学校 (金賞)
 課題曲Xは、舞台での楽器の配置が他の学校とは違っていたこともあって、より個性的な演奏に聴こえました。演奏人数が少なめにもかかわらず、しっかり客席まで音も飛んできていましたし、一曲通してキリッとした緊張感もあったと思います。自由曲の「バレエ組曲『火の鳥』より」は、金管のピッチで少し気になるところもありましたが、音が良く伸びていて、くっきりとした美しいサウンドでした。あと、木管のソロもきれいでした。
11 兵庫県立伊川谷北高等学校 (金賞)
 課題曲Wでは、まず金管のffから木管のppへの受け渡しがとてもスムーズで、金管のキレの良さと木管の柔らかさが際立った演奏でした。金管のハードな音と木管のソフトな音のバランス・対比や、ダイナミクスの幅が大きく、上品でありながら華のあるマーチだったと思います。自由曲の『吹奏楽のための「ゴシック」』は、音の揺らぎが巧みで、バンド全体のサウンドもまとまっている印象を受けました。ソロの抑揚の付け方やフレージングも美しく、特にピッコロの高音の響きが良かったです。ワルツの伴奏もきれいでした。全体的に立体感のある演奏で、実力の高さを感じました。
12 大阪府立淀川工科高等学校 (金賞・代表)
 課題曲Wは、弾むようなリズム感がとてもバランス良く、曲としての完成度の高さを印象づけられました。全体的に演奏も安定しており、音のまとまりも良く、客席で安心して聴くことができました。自由曲の「バレエ音楽『ダフニスとクロエ』第2組曲より」では、最初のppからゆるやかに、だけど確実にクレッシェンドされていく様が、夜明けの情景を見事に表現していました。また、低音の安定感と高音の華やかさの対比がきれいでした。中盤の音の小刻みなところもリズムに正確で美しく、バンド全体の息もぴったりで、ラストのffは圧巻の迫力。金管と木管のハーモニーも美しく、よくブレンドされて聴こえました。
13 私立近畿大学附属高等学校 (金賞)
 課題曲Xは、全体的に柔らかく、艶のある音づくりがなされている印象を受けました。また、近大らしいダイナミックさもあり、フレージングもきれいでした。自由曲の「ハリソンの夢」では、パートからパートへのメロディの受け渡しがスムーズで上手だったと思います。また、次々とパートが移り変わるフレーズも正確で、聴いていてきれいな音楽でした。他にも、鍵盤などの打楽器のスピード感あふれる演奏とゆったりとした優しい演奏とのコントラストが表現豊かで、とても情感あふれる演奏だったと思います。盛り上がる部分での音の膨らむ感じも印象的で、特にフィナーレにおける一息でのpp→ffは「すごい!」の一言です。
18 兵庫県立兵庫高等学校 (金賞)
 課題曲Wは、全体的によく音が鳴っているという印象を受けました。特に金管の演奏が上手で、音の伸びも良ければキレも良く、実力を感じる演奏でした。自由曲の『バレエ音楽「中国の不思議な役人」』では、各パートのソロもきれいな音を奏でていましたし、全体的にホールに響く良いサウンドが鳴っていたと思います。
22 私立天理高等学校 (金賞・代表)
 課題曲Xは、全体的に音が良く出ていたと思います。音程もきっちり揃っており、響きのあるきれいな演奏でした。自由曲の「バレエ音楽『ダフニスとクロエ』第2組曲より」では、始まりの密やかな音がとても小さいにもかかわらず響きのある美しい音で、バンドとしての実力を感じました。音量や緩急などの変化にもバンド全体できちんと対応できており、正確な演奏でありながら伸びやかな印象を受けました。特に曲中に出てくるスフォルツァンドは、指揮者とバンド全体が一つになったまとまり感と大らかさが感じられ、とても印象的でした。
   
特別演奏 私立明浄学院高等学校
 昨年度、全日本吹奏楽コンクールに3年連続出場を果たした私立明浄学院高等学校の特別演奏。コンクール規定に縛られないステージなので演奏人数も多めです(チューバが6本も! 各楽器の数もバランスよく充実していました)。
 まず1曲目の「アルメニアン ダンス パートT」はノーカットで演奏。吹奏楽オリジナルらしい美しいハーモニーとスピード感ある曲調で、心が躍る演奏でした。また、大人数にもかかわらずアンサンブルもきちんと揃っていましたので、サウンドも重厚でした。各パートのソロも上手で、パーカッションもさすがの安定感。ラストのトロンボーンの小刻みな動きもきれいに揃えられており、音程やタイミングの取り方もさすがでした。
 2曲目の「ブギウギビューグルボーイ」は、指揮者の掛け声を合図にバンド全体が盛り上がる楽しいステージでした。9人のダンサーが登場し、クラリネットとフルートのそれぞれが、ステージの左右に広がっての演奏。他の楽器も椅子から立ちあがっては「踊って」「回って」の動きのあるステージで、それを見るのに夢中で音楽を聴くのを忘れてしまうぐらい私たちを大いに楽しませてくれた演奏でした。
「3年連続出場」という肩書きはある意味プレッシャーになったのではないかと思いますが、本当に素晴らしいステージ、名演奏をありがとうございました。
 今年は結果発表が昨年のような掲示ではなく会場ステージ上でのアナウンスだったので、1校1校の成績が発表されるごとに会場が沸き上がり、生徒たちの喜びや悔しさが直に伝わってきました。毎年のことではありますが、どこもレベルの高い演奏だっただけに、この中からたった3校しか全国大会に行けないというのは、本当に狭き門だなと痛感します。そんな中、見事全国大会への切符を勝ち取った私立大阪桐蔭高等学校、大阪府立淀川工科高等学校、私立天理高等学校の3校の皆さん、ぜひ全国大会でも素晴らしい演奏を聴かせてくれることを楽しみにしています。



演奏会レポート【11】  秋田の有名バンド揃い踏み!!第21回トップコンサート
■レポーター: 秋田県立M高等学校 雲英 (高校3年生・コントラバス)
■演奏会: 第21回 トップコンサート
平成21年6月7日(日) 湯沢文化会館大ホール(秋田県湯沢市)
   
 先日、秋田県湯沢市で行われた第21回トップコンサートに足を運んだところ、とても感動したのでレポートします。
 このトップコンサートは、秋田県吹奏楽連盟が県内のバンドのレベル向上のために、県を代表し活躍するブラスバンドを一同に集めた豪華な演奏会です。今回は、21回目なのですが、実は20回目の演奏会は、数十年前に行われ、昨年まで休止となっていたのです。それが、今年見事復活したので、聞きに行って参りました。

気になる、出演団体はというと・・・
全日本吹奏楽コンクール全国大会
金賞 秋田市立山王中学校
  湯沢市立湯沢南中学校
銀賞 秋田吹奏楽団
銅賞 秋田県立秋田南高等学校
昨年度
三出休みの
大曲吹奏楽団
アンサンブルコンテスト全国大会
金賞 大館ウインドアンサンブル サックス4重奏
銀賞 秋田市立山王中学校吹奏楽部 サックス4重奏
そのほかにも、マーチングの強豪
  秋田市立秋田商業高校
  秋田県立秋田工業高校
東日本学校吹奏楽大会中学校コンクール部門
銀賞 美郷町立千畑中学校
と、開催地湯沢地区吹連の推薦メンバーの中学生バンドの、合わせて10団体の豪華絢爛な出演団体。

そして、プログラムは…
1、 ユートピアジュニアブラス(推薦中学生バンド)
  ・行進曲「K点を越えて」
  ・フィル ソー グッド
2、 山王中学校 サックス4重奏
  ・グラーヴェとプレスト
3、 山王中学校
  ・コミカル★パレード
  ・ソアリング!
  ・となりのトトロ〜コンサート・バンドのためのセレクション〜
4、 大曲吹奏楽団
  ・祝典序曲(ショスタコヴィーチ作曲)
  ・ネストリアン・モニュメント
  ・ジャパニーズグラフィティ12
5、 大館ウインドアンサンブル サックス4重奏
  ・トルヴェールの惑星より「彗星」
  ・彼方の光
  ・SWANEE
6、 秋田工業高校 ステージドリル
  ・スウォード・オブ・オーナー
  ・エクスカリバー
7、 秋田商業高校 ステージドリル
  ・ナヴァル・ブルー
  ・ジョージア・オン・マイ・マインド
  ・ルパン三世のテーマ
8、 千畑中学校
  ・マーチ「青空と太陽」
  ・狂詩曲「スペイン」
  ・三つのジャポニズム
9、 湯沢南中学校
  ・マーチ「青空と太陽」
  ・アイヌ民謡「イヨマンテ」の主題による変奏曲
  ・オーメンズ・オブ・ラブ
10、 秋田南高校
  ・躍動する魂〜吹奏楽のための
  ・アルメニアンダンス パート1
  ・バンドとコーラスのためのTomorrow
11、 秋田吹奏楽団
  ・16世紀のシャンソンによる変奏曲
  ・ボレロ ポップスバージョン(岩井直博編曲)
  ・高度な技術への指標
12、 フィナーレ
  大いなる秋田 3楽章に合わせて、会場全員で県民歌斉唱
の、約4時間に及ぶステージ。
どの学校も、すばらしい演奏でした。

すべての曲の感想・レポートもあるのですが、長くなりますので自分の印象が最も強かったものを2曲ほど。
♪湯沢南中学校のアイヌ民謡「イヨマンテ」
 なんともいえない、民謡らしさが吹奏楽のサウンドで上手く表現されていて曲の完成度の高さがよくわかる。場面ごとの雰囲気の違いがすばらしい。
♪秋田南高校の躍動する魂
 この曲の持つ、緊張感がとても上手く表現されていた。複雑な、リズムが交錯して、次第に高まる魂が伝わってくる、圧巻の演奏。

それと、補足ですが秋田吹奏楽団の演奏したボレロ・ポップスバージョンは、なにやら未発表の曲らしく(未確認)、秋田吹奏楽団の指揮者遠藤文成氏が学生時代に岩井直博氏にラヴェルの「ボレロ」の編曲を提案して、さすがの岩井氏も悪戦苦闘の末、完成させた曲であることが曲紹介で明かされました。 ラテンパーカッションにのせ様々なジャンルのリズムで演奏されるボレロは、一風変わっていてとても楽しいものでした。