演奏会レポート

PR情報

河合塾

オープンキャンパスへ行く準備してる?

演奏会レポート

自分が聴きに行った演奏会や、
参加した演奏会を、レポーター独自の視点でみんなに紹介。
学生レポーターも募集中です!

演奏会レポート

レポートの投稿はこちらから!

演奏会レポート特別企画

演奏会レポート特別企画




携帯サイトからも
Brass Fun 掲示板や
演奏会情報に
アクセスできます。

http://we-love-brass.jp/i/
演奏会レポート【16】 スペシャルレポート 第58回全日本吹奏楽コンクール 〜高校の部〜
■レポーター: 兵庫県立神戸高等学校 井上さん(高1生・トロンボーン)
■演奏会: 第58回全日本吹奏楽コンクール 高校前半・後半の部
  平成22年10月31日(日) 普門館(東京都杉並区)

 今年も「We Love Brass」では、現役吹奏楽部員による全日本吹奏楽コンクールのレポートを実施。今回は、兵庫県立神戸高等学校吹奏楽部のトロンボーンの井上さんに、10月31日に普門館で行われた第58回全日本吹奏楽コンクール(高校の部)をレポートしてもらいました。
 
※学校名をクリックするとレポートが表示されます。
 


前半の部
 
1.北陸代表 富山県立高岡商業高等学校 (富山県)
課題曲: U オーディナリー・マーチ
自由曲:「シンフォニエッタ」より  V.X. (L.ヤナーチェク 作曲)
成績:銅賞
 この学校の演奏が、私が生まれて初めて聴いた全国大会の高校の演奏でした。
 その最初の一音目で、頭を引っぱたかれたような衝撃を受けました。重くなりすぎない、重厚でありながら流れるようなサウンド、メロディとオブリガートの絶妙な掛け合い、低音の安定感など、どれをとっても一流で、ただただ圧倒されていました。
 自由曲では、個々の楽器の鳴らし方について考えさせられました。特にトロンボーンのソロのところなどは、一本であるにも関わらず音が会場の隅々まで響いていて、自分との格の違いが歴然としたように思いました。また、音楽の強弱を音色と音量で表現していて、同じ奏者でもpとfでこんなにも表現が違うのかとびっくりしました。曲の中盤からの金管のファンファーレは、全員がぴたりと揃っていて、とても正確で迫力のある演奏でした。
 
2.東関東代表 柏市立柏高等学校 (千葉県)
課題曲: W 汐風のマーチ
自由曲:トリトン デュアリティ (長生 淳 作曲)
成績:金賞
 課題曲は、まずメロディのクラリネットとトランペットの音色と音の形がぴたりと揃っていることに感激しました。どちらも出過ぎず、かといって引っ込みもしないバランス感が素晴らしかったです。最初は曲をコンパクトにまとめるのかと思いましたが、終盤に近付くに従ってスケールが大きくなってゆくのを感じて、その緻密な計算に驚きました。また、曲の最後の余韻の残し方も絶妙でした。
 自由曲は、個々の技量を生かしつつ、その上で全体のサウンドを形作っていました。音の形はクリアなままで、曲調が変わるにつれて各楽器の音色や音量が瞬速で切り替わる様は、聴いていて圧巻でした。また、トロンボーンの下のパートが、低音部とはまた違った味で上の楽器の音を支えていたのが印象に残りました。  いつか、自分のバンドでもこんな音楽をしてみたい、と思いました。
 
3.東京代表 東海大学付属高輪台高等学校 (東京都)
課題曲: T 迷走するサラバンド
自由曲:交響詩「モンタニャールの詩」 〜アルプスに伝わる愛と勇気の物語〜 (ヴァン=デル=ロースト 作曲)
成績:金賞
 課題曲の冒頭は、たっぷりとした音色のテナーサックスが印象的でした。適度な緊張感を持った歌い出しで、次に何が出てくるのかを読ませない音楽作りが面白いと思いました。また、一曲を通してほころびがほとんどなく、演奏者全員が自分のパートを他のパートとのバランスを聴きながら完璧に吹き切っているのには驚きました。
 自由曲は、低音をよく響かせることで、重厚で美しいサウンドを創り出していました。ここぞという時に効く金管力、そして金管主体の場面でも丸く包み込むような音色で一本のように聴こえてくる木管の連?が見事でした。トゥッティの時にはまるで音が形を持ったように面で迫ってきて、それもバランスと音色を極めるからできる技なんだな、と思いました。
 
4.九州代表 玉名女子高等学校 (熊本県)
課題曲: W 汐風のマーチ
自由曲:交響詩「ローマの祭」より  T.チルチェンセス、W.主顕祭 (O.レスピーギ 作曲)
成績:銅賞
 まず、バンド全体の音量が他校に比べてとても大きいのに驚きました。課題曲の初めのメロディのトランペットが、とてもパンチが効いていて印象的でした。しかし、力まかせで吹いているのでは決してなく、むしろすっきりとした流れるようなサウンドを作っていました。また、トリオの部分のアルトサックス、ピッコロ、グロッケン、ユーフォニアムの掛け合いが見事でした。
 自由曲は、冒頭の三本のトランペットのファンファーレが音色もピッチも音の形もぴたりと揃っているのにびっくりしました。まるで一本で吹いているようでした。また、トゥッティの部分で金管が全力で吹いても、その他のパートがしっかりと支えているために音が飛び出さず、全くバランスが悪くは聴こえませんでした。課題曲よりもさらに音量を出していたために、ホール全体がびりびりと振動し、これこそが全国大会出場校の演奏だと思えました。
 
5.中国代表 江の川学園石見智翠館高等学校 (島根県)
課題曲: T 迷走するサラバンド
自由曲:交響詩「ローマの祭」より  T.チルチェンセス、W.主顕祭 (O.レスピーギ 作曲)
成績:銅賞
 課題曲は、最初の一音目から奏者がどんな音楽をしたいのかが伝わってきました。クラリネットの音がとても丸みのあるまろやかな音色で、まるで一本で吹いているようでした。全体的に表情豊かで、曲を奏者全員のサウンドで包み込み、一つの大きな虹色の球体を形作っているような感じでした。
 自由曲は、全体的に少し軽快さを出しつつ、その上で音の厚みを十分にアピールしていました。低音、特にチューバの重厚な音がバンドを支えているのがはっきりと分かり、あらためて低音が上のパートを支えることの大切さを理解しました。トランペットとトロンボーンのソロが少しも頑張っているようには見えないのに、音はホールの隅々まで響いていて、低音も高音も全部が同じ音量、同じ響きで演奏されているのには感動しました。
 
6.東北代表 秋田県立秋田南高等学校 (秋田県)
課題曲: X 吹奏楽のためのスケルツォ 第2番 ≪夏≫
自由曲:管弦楽のための舞踏詩「ラ・ヴァルス」 (M.ラヴェル 作曲)
成績:銀賞
 課題曲は、最初から軽快さを前面に出した音楽をしていました。特に、ドラムのバチ捌きと正確なテンポキープ、それに低音のバンド全体をぐいぐいと後押しする力でそれをよりはっきりと出していました。しかしその一方で、中盤のチューバソロはどこまでも深く下に掘り下げていくような音色と吹き方をしていて、その対照的な音楽作りに驚きました。高音楽器がとても丸くてまろやかな響きで、各パートが一本ずつで吹いているように聴こえました。
 自由曲は、低音部を最初コントラバスを六本にして演奏していたので、とてもコントラバスが引き立っていました。全体を通して金管と木管のバランスが素晴らしかったです。比較的はっきりとした音楽作りをしていてpからfまでを音色、音量、体の動きなど、ありとあらゆるものを使って表現しているのがよく分かりました。
 
7.関西代表 明浄学院高等学校 (大阪府)
課題曲: W 汐風のマーチ
自由曲:ウインドオーケストラのためのマインドスケープ (高 昌帥 作曲)
成績:銀賞
 課題曲を聴いていて、この学校独特のサウンドがとても心に響きました。どのパートも前に出ず、かといって後ろにも引かず、まるで凸凹のない完全な球体のように美しい音楽でした。クラリネットとトランペットが同時にメロディを吹くところでは、両パートの音色が完全に混じり合い、どれがどちらのパートなのか判別がつきませんでした。また、トリオのチューバの音色が柔らかく、とても美しかったです。軽快さの中に、堂々とした雰囲気が上手く入っていました。
 自由曲は、きっちりと固められた枠の中に音色を入れ込んでいっているような丁寧さを感じました。特に、曲の中盤のトロンボーンの和音は、バランスが少しも崩れずに会場の隅々まで響いてきて、思わず震えがきました。まず個人技量を磨き、それをパート全体の技術にまで発展させ、最後に合奏でそれぞれのパートを組み合わせていっているのだと思います。
 
8.四国代表 愛媛県立伊予高等学校 (愛媛県)
課題曲: W 汐風のマーチ
自由曲: 楽劇「サロメ」より  7つのヴェールの踊り (R.シュトラウス 作曲)
成績:銀賞
 課題曲は、とてもパンチの効いた音なのに、奏者は皆余裕のある表情で吹いていて、一体このバンドはどこに限界があるのだろう、と不思議になりました。低音部とベースドラム、ティンパニが上のパートをがっしりと支えているのは良く分かるのに、絶対に表には出てこなかったのがとても印象に残りました。また、トリオの表打ちと裏打ちの連携がとても良くとれていて、音楽がぐんぐん前に進んでいく様は聴いていてとても気持ちが良かったです。
 自由曲は、先の展開を見通すことを許さない絶妙な音楽作りで、クレッシェンドやデクレッシェンドがとても効果的に使われていました。打楽器が、一曲を通して管楽器を適切にサポートしているのが良く分かりました。特に、ベースドラムとシンバルが曲の雰囲気に合わせて音色までも変えているように感じました。全体的にテンポが良く揃っていました。
 
9.九州代表 八代白百合学園高等学校 (熊本県)
課題曲: W 汐風のマーチ
自由曲:ウィークエンド・イン・ニューヨーク (P.スパーク 作曲)
成績:銅賞
 課題曲は少しテンポが速めで、軽快に流れるような音楽でした。最初から音量をしっかりと出しているものの、鳴らすところと鳴らさないところの区別をしっかりとつけていました。各パートがハキハキと演奏しながら、ブレンド感も充分にある演奏でした。中盤からのスネアドラムの切れが良かったです。
 自由曲は、とても華やかな演奏でした。クラシック音楽でない分、音色が明るく聞こえ、奏者たちも楽しそうでした。中盤のサックスソロが音色豊かで艶っぽく、聴いていてうっとりしました。音の粒と処理がぴたりと揃っていて、個人の技術の高さが窺えました。一曲を通して少しずつじりじりと音楽を進めていき、最後で見事に完結していたのが良かったです。思い切り音を飛ばして鳴らしていながらも無理をせず、むしろそれが心地良く聴こえてくるのが不思議でした。  個人的には、この学校の自由曲の演奏が一番好きだと思いました。
 
10.西関東代表 春日部共栄高等学校 (埼玉県)
課題曲: X 吹奏楽のためのスケルツォ 第2番 ≪夏≫
自由曲:シンフォニエッタ第2番「祈りの鐘」 (福島 弘和 作曲)
成績:金賞
 課題曲Xは、今までどこか得体の知れない曲だと思っていた部分がありましたが、この学校の演奏を聴いてイメージが変わりました。明るい音色で一音ずつクリアに紡がれる音楽は、聴いていてとても心地良かったです。また、軽快なところとゆったりしたところが明確に歌い分けられていました。特に木管の音の立ち上がりや粒がとても良く揃っていたのにはびっくりしました。ドラムも軽快に、かつ正確なバチ捌きでした。これまでに聴いた中で一番好きな課題曲Xでした。
 自由曲もまた、場面によって音色、歌い方がはっきりと切り換わる演奏でした。金管のメロディが、飛び出ているわけではないのに迫力を持って聴こえてきました。どのパートも高音から低音まで同じクオリティで吹けているように思えました。この学校の音色のクリアさは、自分たちのバンドでも手本にしたいと思いました。
 
11.東海代表 安城学園高等学校 (愛知県)
課題曲: W 汐風のマーチ
自由曲:バレエ音楽「白鳥の湖」より (P.I.チャイコフスキー 作曲)
成績:銅賞
 課題曲は一曲を通して上品な仕上がりで、クラリネットがよく聴こえてきました。いくつかのパートが同じフレーズを一緒に吹くところでは、全員が音色、ピッチ、音の形をぴたりと揃えてたっぷりと歌っていて、まるで一本の楽器で吹いているように聴こえました。また、木管の丸い響きに合わせるように金管もあまり前に出ることなく、絶妙なバランスを保っていました。
 自由曲は、全体を通してまるでオーケストラのように重厚で繊細な響きをしていました。特に、オーボエのソロの歌い方がとても優雅で、思わず湖の上でたくさんの白鳥が舞っている様子を想像してしまいました。奏者全員でこの曲をどう吹きたいのかを明確に意識し、それを忠実に再現しているような感じがしました。特別頑張っているわけではないのに、音の響きがホール全体に届いており、楽器の吹き方というのを改めて考えさせられました。
 
12.西関東代表 埼玉栄高等学校 (埼玉県)
課題曲: T 迷走するサラバンド
自由曲:歌劇「マノン・レスコー」より (G.プッチーニ 作曲)
成績:金賞
 課題曲冒頭はとても丁寧な滑り出しで、テナーサックスの音色が豊かに美しく響いてきました。透き通るような美しいサウンドとテンポ、音の形の正確さ、そして全くそつがない音楽が特徴的な演奏でした。曲の雰囲気がとても柔らかく、会場を包み込むような感じがしました。
 自由曲もやはり、美しいサウンドで正確な音楽をしていました。どのパートも前に出ず、後ろにも引かず、全員が絶妙なバランスのまま最初から最後まで演奏されていました。ホルンやトロンボーンなどの和音が素晴らしく綺麗で、倍音がはっきりと聴こえました。最後はぐっと一気に盛り上がり、理想のクライマックスでした。演奏のあまりの完璧さに、思わずメモに「神の演奏だ!」と書いてしまいました。
 
13.北海道代表 東海大学付属第四高等学校 (北海道)
課題曲: U オーディナリー・マーチ
自由曲:バレエ音楽「ガイーヌ」より 前奏曲、友情の踊り、アイシェの孤独、剣の舞、収穫祭 (A.I.ハチャトゥリアン 作曲)
成績:銀賞
 課題曲は、非常に安定感のある演奏がされていました。音の処理の長さが、全員でぴたりと揃っていたのには感動しました。また、バストロンボーンの音量がとても大きく、かつ繊細な音色で、バンドを下からよく支えていました。打楽器の刻みがとても正確で、特にスネアドラムのテンポキープの技量は目を見張るものがありました。個人的には、この学校の演奏した課題曲Uが一番好きです。
 自由曲の金管中心のファンファーレは、重厚な質感を持ちながらも全く重くは聴こえませんでした。全部のパートが絶妙なバランスで混じり合っている様は、聴いていて本当にうっとりしました。打楽器がテンポの速いところをしっかりリードしていて、軽快な音楽を創っていました。木管も金管もお互いを聴きながら音量を調節していたのが印象に残りました。
 
14.中国代表 岡山学芸館高等学校 (岡山県)
課題曲: X 吹奏楽のためのスケルツォ 第2番 ≪夏≫
自由曲:ガランタ舞曲 (Z.コダーイ 作曲)
成績:銀賞
 課題曲は他校に比べ、しっとりと情熱的なサウンドをしていました。しかしその中でも軽快さは失わず、場面に合った音楽ができていたのが凄いと思いました。音の縦をしっかり合わせ、その上で流れるように歌う演奏は、聴いていてうっとりしました。また、パート間のバランスがよく取れていました。
 自由曲は一転して、全体的にとても明るい音楽でした。短調の部分も、あまりの明るさに思わず長調かと錯覚してしまうほどでした。一番印象的だったのがホルンのソロで、音色が素晴らしく豊かで、音の切り換わりが美しいのに感動しました。私はホルン奏者ではありませんが、いつかあんな音楽ができるようになりたい、と思いました。また、オーボエも太い音色が綺麗でした。  全体を通して、とても温かみを感じる演奏だと思いました。
 
15.東北代表 福島県立磐城高等学校 (福島県)
課題曲: W 汐風のマーチ
自由曲:華麗なる舞曲 (C.T.スミス 作曲)
成績:銀賞
 課題曲は、最初から最後まで流れるような音楽作りがされていました。どのパートもはっきりと聴こえてくるけれど、どこかベールに包まれているような演奏でした。そのためか、バンドの底力が全く見えず、一体ここが本気になったらどれほどの音量が出るのだろう、と思わず震えがきました。トロンボーンの音も豊かで、トランペットとのバランスがとても良かったです。
 自由曲はがらりと雰囲気が変わり、会場を震わすような大音量で吹いていました。かといってうるさいわけでは決してなく、音が分厚い面のようになってこちらまで届いてきました。金管が思い切り吹いても低音と木管がそれを包み込み、さらに打楽器がそれらをまとめて後ろから押すことで音量のレベルをさらに一つ上の段階まで持ち上げているのには感動しました。場面の切り替えが瞬速で、まるで違う曲を吹いているかのように奏者の表情が次々と変わるのが印象的でした。
 


後半の部
 
1.東海代表 長野県長野高等学校 (長野県)
課題曲: W 汐風のマーチ
自由曲:バレエ音楽「ダフニスとクロエ」第2組曲より  夜明け、全員の踊り (M.ラヴェル 作曲)
成績:銀賞
 課題曲は、まず強弱がはっきりとついていることに驚きました。全員がどこでどんな風に音色を変え、音量をどうすれば良いのかをしっかり分かって、指揮者の指示に従って適確に演奏しているように思いました。トリオでは、アルトサックスとユーフォニアムの音が豊かで響きが美しく、たっぷりと歌い込まれていました。また、直管が目立たないようにしながらも、きっちりと鳴らしてバンドの音量を支えていたのが良かったです。
 自由曲は全く先が読めない展開で、木管の美しい音色が効果的に使われていました。細かい連符も全て完璧な粒揃えで吹き切っていたところには、この学校の技量の高さが窺えました。金管が音の輪郭を作り、その中に木管が響きを入れてバランスをちょうど良く保っている印象を受けました。どのパートも音量を出しながらも絶対に無理した音は出さず、むしろそれを響きに変えていることに本当に驚きました。
 
2.関西代表 天理高等学校 (奈良県)
課題曲: T 迷走するサラバンド
自由曲:「交響三章」より  第3楽章 (三善 晃 作曲)
成績:銀賞
 課題曲は他校に比べて少しコンパクトな作りになっていましたが、その分ピッチ、音の形、音色などをきっちりと揃え、綻びの全く見えない演奏に仕上げているのが印象に残りました。どのパートも余裕を持ち、場面ごとのメリハリを良くつけて吹いていました。低音部、特にチューバの音の形が綺麗だなと思いました。
 自由曲でも余裕は変わらず、しかしトゥッティで音量を出すべきところはしっかりと出していました。曲の明るいところと暗いところをはっきりと分け、暗いところはひたすら深く、深く掘り下げていくような音楽をしていました。自分たちのバンドでも、こんな深い音楽をできるようになりたいです。
 
3.北海道代表 北海道旭川商業高等学校 (北海道)
課題曲: W 汐風のマーチ
自由曲:歌劇「カヴァレリア・ルスティカーナ」より (P.マスカーニ 作曲)
成績:金賞
 課題曲は、インテンポよりも少しゆっくりめの堅実なマーチに仕上がっていました。強弱をはっきりとつけながらも、全体的に音量が出ていて、輝きのある明るいマーチでした。トロンボーンが全体を通して少し控えめに感じられました。
 自由曲の最初の方で舞台袖で吹いていたトランペットのソロには、思わず震えがきました。あんなに悲壮感漂う美しい音色を、私は今まで聴いたことがありませんでした。全体を通して情熱的な音楽になっており、最初から最後にかけて少しずつ曲を盛り上げたのは見事でした。最後の音楽の密度の濃さには本当に感動しました。また、アッチェレランドやリタルダンドを効果的に使って音量アップしているのが印象的でした。低音部の音の厚さと深みがすごくて、「自分たちのバンドの手本にしたい!」と思いました。
 
4.東関東代表 習志野市立習志野高等学校 (千葉県)
課題曲: U オーディナリー・マーチ
自由曲:バレエ組曲「火の鳥」より (I.ストラヴィンスキー 作曲)
成績:銀賞
 課題曲は、余裕が感じられるサウンドで、木管がとても表情豊かでした。特に、トリオの響きと音の粒の揃い具合は、聴いていて思わずうっとりしました。また、トランペットが木管に違和感なくとけ込んでいることに感動しました。低音が一曲を通してしっかり上を支え、それがハーモニーの深さを作っていました。
 自由曲は、最初はゆったりと丸みを帯びて和やかな音楽でした。クラリネット、フルート、サックスの音色の混じり方が絶妙でした。途中から曲の雰囲気が変わり、前とは一転して激しい音楽になった時には、金管が空気を震わすような音量で吹いていて、そのギャップに驚きました。曲調と一緒にホール内の空気まで一瞬にして変えてしまう演奏でした。
 
5.東海代表 愛知工業大学名電高等学校 (愛知県)
課題曲: W 汐風のマーチ
自由曲:「三つのジャポニスム」  U.雪の川、T.鶴が舞う、V.祭り (真島 俊夫 作曲)
成績:銀賞
 課題曲の冒頭を聴いて、音量が出そうなバンドだな、と思いました。一曲を通して元気な印象のマーチでした。低音とパーカッションが一体となって、曲の推進力を生み出しているのがよく分かりました。どんどん前にテンポが乗っていく感じでしたが、それと同時に合わせるところ、決めるところが明確に演奏されていたのが良かったです。
 自由曲は、どこか日本風の旋律に上手く西洋のサウンドを入れている感じがしました。「雪の川」では真っ白な雪景色が、「鶴が舞う」ではたくさんの鶴が頭上を舞っている様子がはっきりと頭に浮かんできたのには感動しました。演奏することで聴いている人の頭に情景を描かせることができるのは、本当にすごい、と思いました。いつか、自分たちも一度でいいからそんな演奏をしてみたいです。また、ティンパニのバチ捌きが神懸かったように正確で美しく、思わず見とれてしまいました。
 
6.四国代表 高知県立高知西高等学校 (高知県)
課題曲: X 吹奏楽のためのスケルツォ 第2番 ≪夏≫
自由曲:リベレーション(我を解き放ち給え) (D.マスランカ 作曲)
成績:銅賞
 課題曲は、最初は少しゆっくりと堅実さを出して演奏していましたが、ドラムが本格的に入るトゥッティの部分になると、音量を一気に上げて茶目っ気のある音楽に早変わりしました。奏者全員が吹いていてとても楽しそうで、また、音色もどこか遊びの入った軽快で楽しい響きに感じられました。しかし、深いところは深く、ググッと掘り下げるように雰囲気を変えていたのには感心しました。
 自由曲も、とても楽しそうに演奏されていました。クラリネットの高音域のピッチが少しの狂いもなく揃っていて、思わず口をぽかんと開けて聴き入ってしまいました。一曲を通して楽器の音が澄んでいて、耳の奥に浸み通るようでした。また、シンバルとベースドラム、ティンパニが一丸となってバンドを強力にバックアップしていました。そのためか、トゥッティはとてもパンチの効いた演奏になっていました。
 
7.西関東代表 前橋市立前橋高等学校 (群馬県)
課題曲: V 吹奏楽のための民謡「うちなーのてぃだ」
自由曲:「舞踏組曲」より (B.バルトーク 作曲)
成績:銅賞
 まず、舞台の上の演奏者の人数が少なかったことにとても驚きました。しかし、それを感じさせないほどの音量と響きが出ていて、音楽をするには人数が少なくても大丈夫なのだ、と改めて教えられたような気がしました。
 課題曲は最初から最後までたっぷりと豊かに歌われていました。特に、金管が全くうるさくならずに木管と一体になって飛んでくるのにはびっくりしました。音の縦や立ち上がりがきっちり揃って客席まで届いてきたのが良かったです。
 自由曲はとても堅実な演奏でした。しかし、その中にも音楽性が豊かに込められていて、和音のハーモニーは特に素晴らしかったです。トロンボーンのソロは、どうしてあんなに音が美しく飛んでくるのだろうと不思議に思うほどに上手で、個人技量の高さにもびっくりしました。
 
8.東関東代表 常総学院高等学校 (茨城県)
課題曲: X 吹奏楽のためのスケルツォ 第2番 ≪夏≫
自由曲:バッハの名による幻想曲とフーガ (F.リスト 作曲)
成績:金賞
 課題曲は、全体を通してとても丁寧に仕上がっていました。元気で軽快に演奏する部分と少人数で流れるように演奏する部分をしっかりと吹き分けているのが印象に残りました。中盤のチューバソロの透き通った美しい音色が素晴らしかったです。また、最初から最後に向かってじっくりと盛り上げていく技術には圧倒され、思わず口をぽかんと開けて聴き入ってしまうほどでした。
 自由曲は、最初のトゥッティでガンッと音量を効かせておいて、次の瞬間には見事にすっと落としていたのが印象的でした。フルートとクラリネットの高音域のピッチが一寸の狂いもなく揃っていたのには本当に驚きました。また、ここぞという時に低音楽器がしっかりと上を支えていたのが良かったです。
 
9.北陸代表 石川県立小松明峰高等学校 (石川県)
課題曲: W 汐風のマーチ
自由曲:ディオニソスの祭 (F.シュミット 作曲)
成績:銀賞
 課題曲は表打ちと裏打ちがとても正確で、しっかりとテンポを支えているのが分かりました。メロディとオブリガートの掛け合いが絶妙で、思わず聴きほれてしまいました。全てのパートの音が一本ずつで吹いているように聴こえたのがすごかったです。また、パーカッションがさり気なくバンドをバックアップしており、堅実ながら躍動感のあるマーチに仕上がっていました。
 自由曲はとても余裕のある滑り出しで、各パートの音色がとても綺麗でした。思い切り吹く場面とすっと引く場面の線引きが明確でした。低音がしっかりと支え、曲の深みを出しているところが良かったです。トゥッティの部分の各パートのまとまりとバランスが素晴らしく、迫力がありつつも繊細なサウンドでした。今何気なく演奏しているように見えていることも、実は膨大な練習と努力の末に得ることができたものなんだろうな、と思いました。
 
10.中国代表 修道高等学校 (広島県)
課題曲: X 吹奏楽のためのスケルツォ 第2番 ≪夏≫
自由曲:歌劇「トゥーランドット」より (G.プッチーニ 作曲)
成績:銀賞
 課題曲は、全体としてとても整理された音楽になっていました。各パートのバランス、音色などがとてもすっきりとまとまっていたのが良かったです。指揮者も生徒も演奏していて楽しそうだったのが印象的でした。最後の方でテンポが上がるところでは、どの学校よりも一気に加速していて、その思い切りの良さに驚きました。
 自由曲は、最初からパンチの効いた音でテンポよく演奏されていました。コンパクトにまとめるところと大きく広げるところの違いがよく出ていて、それぞれに合った音色が素敵でした。ホルン主体のメロディの部分が見事に歌われていました。曲が進むにつれ、歌劇の色々な場面が頭の中に浮かんできて、とても楽しい音楽でした。また、トゥッティの部分では音が津波のように客席まで押し寄せてくる感じで、その圧倒的な迫力に思わず息をするのも忘れて聴き入ってしまいました。
 
11.九州代表 原田学園鹿児島情報高等学校 (鹿児島県)
課題曲: U オーディナリー・マーチ
自由曲:アルプスの詩 (F.チェザリーニ 作曲)
成績:金賞
 課題曲は、他校よりも少しゆっくりめで、ふわっとした雰囲気の演奏でした。トランペットの音色が柔らかく、木管と溶け合っていたのが良かったです。また、曲の最後の音の余韻が美しく、それだけでうっとりとしました。
 自由曲は、全体を通して安定した豊かなサウンドで演奏されていました。特に、各パートの和音、バランス、ピッチがとても綺麗でした。ホルンソロの音が会場の隅々まで綺麗に届いていて、一本しか吹いていないのにあんな音が出せるものなのか、ととても感動しました。また、奏者全員が最初から最後まで余裕を持った表情で吹き切っていたのがすごかったです。
 
12.関西代表 大阪桐蔭高等学校 (大阪府)
課題曲: V 吹奏楽のための民謡「うちなーのてぃだ」
自由曲:「レクイエム」より (G.ヴェルディ 作曲)
成績:金賞
 課題曲の最初の部分は、メロディと伴奏が深く混じり合って、とてもゆったりとしたサウンドでした。途中でテンポが変わってからは、前への推進力は失われずに余裕のある音楽をしていました。低音がたっぷりと豊かに鳴っているために音楽の深みが増しており、まるで水が滔々と流れる大河のようでした。トロンボーンの和音のピッチがぴたりと揃い、3パートが均等に聴こえてきたのが良かったです。
 自由曲も同じく、とても深みのある演奏でした。トゥッティの部分では音が豊かに広がり、圧力を伴って客席まで届いてきました。二階席と舞台の距離をものともせず、それだけの音を響かせることができる技量に感動しました。また、和音を構成している音、特に三音の響きが美しいことに驚きました。普段私たちはこの三音に日々悩んでいるのに、その苦労を一切感じさせずに聴かせられるのはすごい、と思いました。
 
13.東北代表 山形県立山形中央高等学校 (山形県)
課題曲: U オーディナリー・マーチ
自由曲:「アルプス交響曲」より (R.シュトラウス 作曲)
成績:銅賞
 課題曲を聴いて金管、特に直管がよく鳴るバンドだな、と思いました。他校より少しゆっくりめに演奏していたために、堅実でテンポが正確な演奏に仕上がっていました。また、大きなフレーズのまとまりを必ずすっと引いて終わる音楽が特徴的でした。
 自由曲は、とても明るい音色の演奏でした。一曲を通して余裕が見え、個人の楽器の鳴らし方について考えさせられました。金管も木管も高音域が美しく響いていました。mpくらいになった時の音量が一番きれいで、特にトロンボーンの音色がとても深くて温かみのある音をしていました。
 
14.東京代表 東京都立片倉高等学校 (東京都)
課題曲: X 吹奏楽のためのスケルツォ 第2番 ≪夏≫
自由曲:バレエ音楽「ダフニスとクロエ」第2組曲より  夜明け、全員の踊り (M.ラヴェル 作曲)
成績:金賞
 課題曲はとても華やかな音楽に仕上がって、テンポよく軽快に演奏されていました。サックスの音色が情熱的で美しく、聴いていてうっとりしました。また、木管も金管も高音域の音がよく出ていたのが良かったです。パーカッションのバチ捌きも洗練されていて、気迫のある演奏でした。
 自由曲は、ゆったりとして豊かな音楽になっていました。金管はどちらかと言えば控えめで、木管が前面に出てよく歌っていました。中盤の低音部のティンパニとコントラバスの連携がとても上手にとれていたのが良かったです。トゥッティの部分では、金管の音の上に木管が乗ることで上手くバランスを取っていました。  高校の全国大会の最後を飾るのにふさわしい演奏だと思いました。
 

全体の感想
 当日、普門館に到着すると、正面玄関の前に長蛇の列ができていました。中学校の全国大会には行ったことがありましたが、それとは比べ物にならないほどの人の数で、改めて高校の全国大会の凄さを感じました。
 最初の学校の演奏が始まった瞬間、衝撃と感激が込み上げてきて思わず泣きそうになりました。どのバンドも一流の演奏で、ピッチ、発音、音の立ち上がり、サウンド、強弱のつけ方など普段私たちが苦労していることは当たり前にできている上、それぞれのバンドが特有の個性を出しており、その聴き比べをするのはとても贅沢で楽しい経験でした。一日中聴き続けたら疲れてしまうのではないかと心配でしたが、そんなことは全くありませんでした。
 私は前半・後半共に二階席で聴いていたのですが、改めて普門館の広さを肌に感じました。奥行き、幅、高さのどれをとっても私が知る中で最大のホールで舞台上の人が豆粒のように見えました。そして、その広い空間全体に難なく音を響かせる各学校には、心底敬意を抱きました。もし私たちのバンドが普門館で吹いたとしても、きっと音が舞台の上だけに留まって客席には全く届かないだろうと思います。また、舞台転換なども素早く、演奏中の姿勢も全員がきちっと揃っていて、上位の学校はそういうところも違うんだな、と思いました。
 全国大会から帰ってから、自分の楽器の音が少し変わった気がしました。それほどにあの日の経験は私にとって大きな衝撃だったのだと思います。私たちのバンドの技量は、今はまだ普門館で演奏した学校には遥かに届きませんが、この経験を生かして少しでもバンドを良い方に変えていきたいです。
 機会があれば、是非もう一度全国大会の演奏を聴きに普門館へ行きたいと思います。

↑プログラムはこちら