Vol.1 大阪桐蔭高等学校 吹奏楽部
怪物ルーキーブラスバンドの誕生

記念すべき第1回目の「Close-up The BAND」に登場するのは、一昨年に創部したばかりの大阪桐蔭高等学校吹奏楽部。驚くべきことにこの吹奏楽部、昨年創部2年目にして全日本吹奏楽コンクール出場という快挙を成し遂げたのだ。確かに全国大会常連校である淀川工科高等学校と洛南高等学校の前年3年連続出場で出来たチャンスをうまく活かしたとはいえ、まさにレッドソックスの松坂もビックリの怪物ルーキーブラスバンドの誕生である。
この大躍進の立役者として真っ先に名前が挙がるのが、昨年、大阪桐蔭高等学校吹奏楽部の総監督に就任した「梅田隆司先生」だ。梅田先生は大阪市立生野中学校で全日本吹奏楽コンクールに2回、大阪市立城陽中学校で全日本吹奏楽コンクールに3回出場を果たした経歴を持つ名将。昨年の大阪桐蔭高等学校吹奏楽部の全国大会出場にも大きく貢献していることは間違いないが、指導者の技術力だけでこの短期間に結果を出せるものだろうか...。そんなみんなが知りたい謎に迫る。

【2007年1月11日 取材】

大阪桐蔭高等学校 吹奏楽部

キーワード(1) Ⅲ類・吹奏楽コース

まず最初に驚くのは、この学校のシステム。大阪桐蔭高等学校では類制が採用されている。その中のⅢ類に一昨年から芸術の分野でも一流の人を育てようということで、吹奏楽コースが立ち上がった。この吹奏楽コース、他の高校とどう違うかというと、授業カリキュラムと部活動が連動しているため、授業カリキュラムでしっかり勉強した後に必須クラブとしてソルフェージュや楽典なども含め、吹奏楽がしっかり学べる環境なのだ。ただこのコースが立ち上がった経緯としては、勉強もしながら中学校の部活で培った財産を高校でも何とか活かせるような場がないかという保護者の要望からということもあり、部活と勉強の両立を目指した授業カリキュラムになっている。だから、勉強は二の次で本当に吹奏楽だけをやりたいと思って来た生徒にはちょっと大変かもしれない。ただ吹奏楽を一生懸命やりすぎて、受験で二の足を踏んでしまったというのはよくある話なので、そういうことから考えると、大阪桐蔭高等学校は本当の意味で生徒が吹奏楽に専念しやすい環境が整っていると言えよう。

Ⅲ類・吹奏楽コース

キーワード(2) プロの演奏家によるレッスン

レッスン

次に驚くのは、部活での練習スタイルだ。通常吹奏楽部の練習と言えば、個人練習→パート練習→セクション練習→合奏となるのだが、この学校ではパート練習の時間もなかなか充実している。それは各パート毎に音楽界で活躍するプロの演奏家が定期的にレッスンをしてくれるからである。プロのきめ細かいレッスンが終わると、部員に待ち受けるのは次回までの課題。部員は個人で基礎練習をした後、日々その課題をクリアするために練習を行う。各部員が吹奏楽の専門的な技能と知識を着実に身に付けられる練習スタイル、音楽をする上でこれ以上の恵まれた環境はあるだろうか。付け加えると、各パートのみんなはとても和気あいあいとした雰囲気の中、私達の取材に元気に応えてくれた。話から部員同士の信頼感や協調性もしっかり育まれているのもよくわかる。

キーワード(3) 梅田隆司先生

梅田隆司先生

大阪桐蔭高等学校吹奏楽部を語る上でどうしても外せないのが「梅田隆司先生」の存在だ。先述した通り全国大会請負人の名将は、創部2年目で全日本吹奏楽コンクール初出場という大きな仕事をきっちりやってのけられた。
「先生は一見怖いが、とても生徒のことを考えてくれている」
「吹奏楽に取り組む姿勢はとても真剣なので、部員もつい熱くなる」
「先生を尊敬している。梅田先生みたいな先生になりたい」
部員に先生の印象を聞くことで、いかに部員からの信頼が厚い先生かがよくわかる。さらに梅田先生を知りたい方は「顧問に聞く!」をご覧いただきたい。そこで、梅田先生の音楽と生徒に対する熱い思いが感じ取れることだろう。

キーワード(4) 練習環境

練習環境

あと忘れてはいけないのが、充実した練習環境。大阪桐蔭高等学校吹奏楽部には合奏室が2室、パート練習室が14室配備され、さらに現在工事が行われている「専用練習ホール」がいよいよ完成。大合奏室、小合奏室を各1室、合奏練習を見ることが出来る教員用の控え室を1室備えた本格的なホールで、大ホールで行われるコンクールを想定した高めの天井設計、吸音材も最高品質のものを使用するなど、他校がうらやむ練習環境だ。また、マーチング屋外練習場として、学校法人「大阪産業大学」の生駒キャンパスに専用のマーチンググランド(40m×50m)が整地されている。マーチングをやりたい生徒にはとても良い環境となっている。

キーワード(5) 部員

部員

最後にどうしても取り上げたいのが大阪桐蔭高等学校吹奏楽部の部員のみんなだ。もともと中学校での吹奏楽経験者が多いこともあり、吹奏楽好きが集まるこの部の音楽にかける情熱は半端でない。例えば、学校の授業以外は明けても暮れても吹奏楽をしている部員がたくさんいる。さらに休日は演奏会を積極的に見に行って生音に触れようとする部員もいる。大阪はもちろん奈良、兵庫、京都、滋賀から、遠い人では片道約2時間かけて毎日通学している部員もいる。創部2年目ということで、真剣に後輩のことや今後のクラブに関して考えている上級生もいる。講師のレッスンを受けながら着実に上手くなっている部員もたくさんいる。梅田先生の指導の下、音楽の楽しさを再認識した部員もいる。昨年コンクールの全国大会に初出場したことで、自分の未知なる可能性を見出した部員もいるだろう。またすでに今年のコンクールに向け闘志を燃やしている部員もいるだろう。とにかくここの吹奏楽部のみんなのパワーには圧倒される。

このように、5つのキーワードで大阪桐蔭高等学校吹奏楽部を検証してみると、昨年のコンクールの結果も必然に思えてくる。但し、その裏には梅田先生をはじめ部員達の様々な努力や葛藤、苦労があったに違いない。しかし、それらを乗り越え彼らは昨年結果を出した。大阪桐蔭高等学校吹奏楽部にも今年初めて3年生が在籍する。そう、ようやく今から他の高校と同じスタートラインに立つのだ。今年もまた昨年とは違ういろんな苦労があることだろう。でもその逆境を跳ね飛ばし、今年どんな活躍をするのかとても楽しみだ。数年後には日本を代表する吹奏楽部になっているかもしれない。まさに怪物ルーキーブラスバンドの誕生である。

顧問に聞く!

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【プロフィール】
大阪桐蔭高等学校吹奏楽部の総監督に就任。創部してまだ2年も経たない同校吹奏楽部を全日本吹奏楽コンクール初出場に導くなど、その手腕を遺憾なく発揮。

部員が選ぶBest of Brassさん

部員が選ぶBest of Brassさん

「Best of Brassさん」に今回選ばれたのは、コントラバス担当の2年生の田渕君。
取材班がインタビューしました。

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