大阪桐蔭高等学校吹奏楽部 総監督 梅田隆司先生

梅田隆司先生
プロフィール
歌の心を大切に!!

中学の時、吹奏楽部に入部。パートはトランペット。顧問の先生がほとんど来ないような弱小クラブだったので、我流で勉強。次第に音楽の楽しさにはまり込む。
高校2年生の頃にピアノを習い始め、卒業後はピアニストの仕事に。大阪音楽大学音楽学部声楽学科在籍中もピアノの仕事は続けるが、大学卒業と同時に母校の中学で常勤講師となる。
翌年、教員採用試験に合格し、大阪市立港中学校に10年間在籍、その後転勤した大阪市立生野中学校で8年間、大阪市立城陽中学校で8年間、吹奏楽部の顧問として生徒を指導。生野中学校時代に全日本吹奏楽コンクールに2回、城陽中学校時代に全日本吹奏楽コンクールに3回の出場を果たす。
そして昨年、大阪桐蔭高等学校教諭並びに同校吹奏楽部の総監督に就任。 創部してまだ2年も経たない同校吹奏楽部を全日本吹奏楽コンクール初出場に導くなど、その手腕を遺憾なく発揮。現在に至る。

取材班:
昨年の全日本吹奏楽コンクール出場おめでとうございました。先生は今までに大阪市立生野中学校、大阪市立城陽中学校、そして大阪桐蔭高等学校の3つの吹奏楽部で計6回全国大会に出場されていますが、きっと生徒の力を引き出す指導の極意のようなものをお持ちなのではないでしょうか。是非お聞かせください。
梅田先生:
梅田先生まず最初に断っておきたいのは、昨年の全国大会出場は我々にとって運にも恵まれた結果であったと言うことです。それは全国大会常連校の大阪府立淀川工科高等学校と洛南高等学校が前年まで3年連続全国大会出場を果たされたことで我々にもチャンスが生まれ、全国大会出場はそれをうまく活かせた結果だと思っています。指導の極意ですか...特に極意と言うものはありません。しいて言えば、僕自身が音楽が好きなんですね。だからのめり込んでしまうんです。それに吹奏楽には生徒と一緒に音楽を楽しめるという世界があるでしょう。子供達と時間を共有するということがとても大切だと思います。吹奏楽界の名指導者であられる淀川工科高等学校の丸谷明夫先生のご指導を拝見させていただいた時、そのことを痛感し、感動したことを今も覚えています。あと僕が高校時代に親身になってご指導いただいた先生がたくさんいらっしゃって、その時学んだことをいつも生徒に話しています。例えば、「自分の目標を自覚すると、才能の芽を急速に伸ばすことができる」とか、「才能というのは独創性、自分の個性がしっかり出てこないと生きてこない」という話などです。多感な青春時代っていうのは自分の目標が何かで随分変わってきますし、結果も違ってきます。自分の目標をしっかり高く持ち、子供達を理解しつつ、共に学んでいこうという姿勢を持っていれば、生徒のみんなはついてきてくれると思います。
取材班:
実際、先生の生活の中でかなりの部分を吹奏楽が占めていますよね。
梅田先生:
そうですね、僕もそうですが生徒にも同じことが言えます。生徒の保護者の方々にもよく言われますが、生徒にとっては家にいるよりクラブにいる時間の方がずっと長いわけですよね。つまり自分の親と一緒にいる時間より僕との時間の方が長い。どこのクラブを指導されている先生方も同じだと思うんですが、子供達と時間を共有することで、同じ目標に向かっていけるわけですよ。
取材班:
昨年のコンクールでは交響詩「ローマの祭」(O.レスピーギ)を演奏されましたが、この曲を選ばれた理由と、今後先生が演奏してみたい曲目があればお聞かせください。
梅田先生:
交響詩「ローマの祭」を選んだ理由は...2006FIFAワールドカップでイタリアが優勝したから(笑)。細かいことを言うと、昨年は戦力的にトランペットに上手な子が多かったので、トランペットをフィーチャー出来る曲として交響詩「ローマの祭」を選びました。あといろいろな人からコンクールのアドバイスをいただきまして、この曲がコンクールに強い曲だということも加味して最終的に決めました。
今後演奏してみたい曲ですが、僕はどちらかというとフランスの曲が好きなんですよ。中学を指導していた時に交響詩「魔法使いの弟子」(デュカス)という曲で全国大会に2回出場したことがあって、あの曲もやってみたいと思うんですけど...高校の部では全国に行けないかな(笑)。
取材班:
交響詩「ローマの祭」などは何年も前から人気のある曲ですし、時代は変わっても名曲は変わらないということでしょうか。
梅田先生:
梅田先生それはあるかもしれませんね。コンクールに強い曲、というか名曲は何回も演奏されますからね。「ダフニスとクロエ」「スペイン狂詩曲」(共にM.ラヴェル)などは淀川工科高等学校や天理高等学校が演奏されていますよね。そういう名曲にも挑戦してみたいなとは思うんですが、リズムやハーモニーすべてが難しい曲も多いですから。でもそんな曲でも実際に演奏してみたら楽しくなってくることがあります。それも演奏の醍醐味なんだけど...選曲って本当に難しいですよね。
取材班:
今年はいよいよ3年生が在籍することで、層に厚みが出てくると思うのですが、昨年までは出来なかったことで、今年はやりたいと思われていることは何かありますか。
梅田先生:
体力的に高校1年生と高校3年生ってやっぱり随分違うんですよ。昨年全国大会に出場した時に痛感したのは、うちは3年生がいなくて2年生も20人弱しかいない...これはまだまだ戦力的に厳しいなと。だから、現2年生がちょうどこの冬のこの時期に筋トレと言いますか、体力づくりを重点的に行っていまして、もっと音圧を上げれるような練習に今取り組んでいます。
あと、昨年からマーチングという分野にも挑戦していますが、そちらの方もけっこう子供達がやりたいという思いを持っていますので、コンクールとマーチングの2本柱に向かって今年もチャレンジしたいと思っています。
取材班:
アンサンブルにも力を入れられているそうですが。
梅田先生:
今度の2月11日に第33回関西アンサンブルコンテストがあって、うちの部からも金管八重奏が出場します。ただ今回のアンサンブルに出場するのは8人だけなんですね。他にも出たいという生徒はいるんだけど、人数制限があるので。でも、吹奏楽で自分達がやれることは何でもやろうという思いから、アンサンブルコンテストにも積極的に挑戦させていただいています。
高校時代というのは本当にやればやるほど力がつく時期だと思います。さらに言えば、時間的なスパンをいかに有効に使うかが、力が伸びる伸びないに大きく影響します。あと大事なのは指導者ですよね。音楽の世界にも流行があって、指導方法とかは時代と共に発展していきますから、今後も若い優れた指導者はどんどん育っていくことでしょう。そういう指導者に力を貸していただいてトレーニングを受けるということはとても大切だと思います。そういう意味では、有能な指導者にこれからも当校にお越しいただいて、子供達に力をつけていってもらえればと思います。
取材班:
吹奏楽というのは一生ものだと思うんですよ。吹奏楽が好きな人は学校を卒業しても一般バンドに入れば続けられますしね。先生は、生徒達に高校卒業後この吹奏楽部で学んだことをどのように活かして欲しいとお思いですか。
梅田先生:
僕が最初に演奏したのが中学の時の吹奏楽による行進曲。それ以降はどちらかというとポップス系から音楽には入っていきました。音楽のジャンルは結構広いので、音楽をする人の間でもジャンル毎で垣根が出来る場合があるんですよ。でもクラシックであれジャズであれ、本物はすべて共通するところがあると思います。どんな音楽でも喜びを共有出来ることが大事だと思うし、そういう意味では子供達には音楽を通していろんな人たちとの垣根が無くなっていくような思いで音楽をやってくれれば嬉しいです。だから合奏でも選曲でもジャンルを越えたものに取り組んでいきたいと思っています。さらに年齢、地域を問わずみんなで共有できるような音楽が出来れば、もっともっと人の輪が繋がっていくと思います。
取材班:
先生の思い描く理想の吹奏楽部とはどのようなものですか。
梅田先生:
先輩になればなるほど偉そうになるとか後輩を従えるというパターンがあるように感じるんですよ。でもうちの部は先輩になればなるほど厳しさを増すというか、自分を律していくという気持ちを強く持って欲しいと思っています。逆に1年生は出来るだけ伸び伸び楽しくクラブに参加させてあげたい、そういう思いでこのクラブを運営しています。でも、4月に新1年生を迎えるにあたり、先輩として今以上にしっかりしなければいけないということを自覚してもらうためにも、これからは結構厳しくやりたいと思っています。弟・妹がいる家族の中では、お兄さん・お姉さんといった年長者が自立するように、先輩がまず自立し、後輩の面倒をしっかり見ることが出来る、このようなクラブの形態が理想ですね。
取材班:
最後に今年の大阪桐蔭高校吹奏楽部の抱負をお聞かせください。
梅田先生:
梅田先生まずは昨年吹奏楽コンクールの全国大会に初出場出来たので、出来れば今年もいい成績を残したいと思っています。また、たとえ今年のコンクールで全国大会に行けなかったとしても、みなさんの心に残るようないい演奏が出来れば嬉しいと思います。あとマーチングでも力をつけて、いい演奏をしたいですね。
取材班:
長時間、インタビューにご協力いただきありがとうございました。大阪桐蔭高等学校吹奏楽部の今後の活躍を期待しております。