コンクールを振り返って~合田先生インタビュー~

【2007年9月8日 土曜日】

合田先生
兵庫県立農業高等学校吹奏楽部
顧問 合田尚也先生  に聞く!

取材班:
合田先生、コンクールお疲れ様でした。2007年の兵庫県吹奏楽コンクール県大会において県立農業高等学校吹奏楽部は『銀賞』という結果に終わりましたが、今振り返ってみて県大会本番の演奏についての先生の率直な感想をお聞かせください。
合田先生:
十分満足のいく演奏が出来たと思います。
取材班:
私達スタッフも実際に客席から演奏を拝聴した限りでは、練習の成果が発揮された素晴らしい演奏だったと思います。また、演奏後の合田先生の明るい表情から「きっと先生も納得のいく演奏が出来たのだろうな」とは思っていました。コンクール県大会前に合奏練習で気になっていた箇所は、本番ではそれなりに克服出来たという感じですか?
合田先生:
曲の最初から最後までを細かく見れば、まだまだクオリティが低い部分もありますし、理想を言えば「もっともっといい演奏が出来ればいいな」とは思います。でも自分達なりには、緊張感のあるいい演奏が出来たように思います。
取材班:
県大会本番終了後、生徒達にインタビューした際に「合田先生が結構緊張されていた」というお話をお聞きしましたが、実際のところいかがでしたか?
合田先生:
いや、そうでもないんですけどね(笑)。生徒達にはそう見えたんですかね。
取材班:
それと生徒の方から聞いた話ですが、先生はコンクール本番中すごい笑顔で指揮を振っていらっしゃったそうで・・・。
合田先生:
まあ何でしょうね、学校で合奏練習する時僕はいつも顔をしかめながら指揮を振っているんで、県大会本番では日頃生徒達に見せない「いい顔」で指揮を振ってあげたいという思いがずっとあったんですよ。生徒達からすれば僕の笑顔も「いい顔」ではないのかもしれませんけど(笑)。
取材班:
県大会本番における曲の時間配分やテンポなどは上手くいきましたか?
合田先生:
まあ、いつも通りでした。もともと曲の尺がちょっと短かったんで、時間に関してはそんなに気にする必要はありませんでしたし、そのおかげで余裕をもって指揮を振れたんで、いつもとテンポが違ったということもなかったですね。
取材班:
県大会本番終了後、生徒達とは何かお話をされましたか?
合田先生
合田先生:
僕自身、本番が終わってから生徒達に演奏について具体的に話しかけることはあんまりないんですよ。生徒達の表情を見ながら自分の気持ちと生徒達の気持ちを天秤にかけて、「自分が思っている感じと一緒やな」とか、「思っていたより生徒達の方がテンション下がってるわ」といったことは気になりますけど。だからコンクール県大会本番終了後も生徒達に演奏についての具体的な話はしていません。その代わり「まあ、良かったな」という言葉をかけました。
取材班:
審査員の講評にはどのようなことが書かれていましたか?
合田先生:
やっぱり技術面のことが多く書かれていました。演奏の基本のところですね。東播地区大会のときもそうだったんですけど、「技術を向上してください」や「全体的に音に余裕がない」などが書かれていました。自由曲『歌劇「トスカ」より』に関して言えば、結論「この曲自体に自分達の演奏がまだ負けている」ということですね。表現についても自分達では「結構上手く出来たかな」と思っていましたが、講評では「もっと言いたいことを前に飛ばさないと表現が伝わって来ない」と書かれていました。
取材班:
成績発表の時、先生はどこにいらっしゃったんですか? 
合田先生:
成績発表の時は、僕はいつも舞台袖で聞くようにしています。
取材班:
県農の結果は『銀賞』でしたが、それを聞いた時の率直な感想をお聞かせください。
合田先生:
僕の中では「ある程度いい演奏が出来たら『銀賞』はいける」と思っていました。その一方で「よっぽど命がけで頑張らないと『金賞』は無理だ」とも思っていました。生徒達にもあらかじめそのことは口にしていましたよ。だから『銀賞』という結果は「妥当なところかな」と思っています。
取材班:
県大会当日、合田先生自身もいろんな学校の演奏をお聴きになられたと思いますが、いかがでしたか?
合田先生:
いろんな学校の演奏を聴いて僕自身思ったことは、『グランプリ』や『金賞・県代表』を獲得するような学校の演奏レベルは例年とあまり変わらないんですけど、兵庫県代表を逃した『金賞』(通称『ダメ金』)や『銀賞』の上位校の演奏レベルがぐっと上がってきたように感じました。だからうちの学校が『ダメ金』に届くためには、練習時間を増やし、技術面と精神面を今よりもっと向上させないと難しいと思いました。でもそれが出来れば、ひょっとすると『ダメ金』に届くことも夢ではないかも知れませんね。
取材班:
ちなみに合田先生が演奏を聴かれた学校で、「上手い!」と思われた学校はどこですか?
合田先生:
僕が言う立場にはありませんが、『グランプリ』を受賞した県立明石南高等学校はもちろんのこと、『金賞』を受賞した学校はみんな上手かったですよ。ただ僕が感心したのは、『ダメ金』の学校でもサウンドが凄かったことです。僕自身、「何とか頑張って県農をそのレベルにまで持っていきたい」という思いになりましたね。でもその一方で、「それって大変なことやろなぁ」とは思います。
取材班:
今年のコンクールを通して、先生が「今回収穫を得たな」と思われることはどんなことですか?
合田先生:
今年の県農は高校1年生の人数が多い、いわば1年生主体のサウンドだったんです。1年生のメンバーの中には中学生の時に兵庫県大会や更に上の関西大会に出場したことのある生徒もいれば、県大会に出場したことのない生徒もいます。また、高校から初めて楽器を持った生徒もいます。そういう生徒達が主体となったクラブが県大会に出場出来たことは、やっぱり大きな意味があると思います。あんまりコンクール一辺倒になってしまってもいけないとは思いますが、「このコンクールを通じて生徒達それぞれが何か得たものがあるはず」と思えることが僕にとっての収穫だと思っています。
取材班:
県立農業高等学校吹奏楽部は昨年、高校A部門では初めて県大会への出場を果たされました。それだけに今年は先生にも相当プレッシャーがかかったのではないかと思われますが、そのあたりについてお聞かせください。
合田先生:
合田先生 そうですね、プレッシャーは正直ありました。1年生が4月に入部して、5月、6月くらいがそのピークでしたね。例えば練習方法に対する苛立ちとか、「何でそんなんやねん」という思いが自分の中に湧いたりしました。でも、7月に入ってようやく生徒達もちょっとずつ僕の言うことを理解してくれるようになってきて、次第にプレッシャーもなくなり、コンクール東播地区大会直前のあたりでは、とにかく「いい演奏で終われたらいいなぁ」という気持ちでした。
取材班:
以前合田先生がお話しされたように、県農の生徒達にはやっぱりここぞという時の集中力があるのでしょうね。
合田先生:
確かに生徒達も「こりゃ、本当にやらなあかんな」と思った時にはやってはくれるんだけど、特別集中力があるということもないんですよ。いい意味でも悪い意味でも、基本的にはのんきな子達です(笑)。
取材班:
3年生が引退した今、これから1,2年生に先生が期待されていることはどんなことですか?
合田先生:
僕が常々思っているのは、「いいクラブをつくりたい」っていうことですね。もちろん、それぞれ各人の思いは違うと思いますが、「昨年よりも今年はもっといいクラブにしたい!」という思いでみんながクラブに取り組んでくれたら、自然といろんなことがいい方向に行くんじゃないかなって思うんです。
取材班:
引退する3年生に一言メッセージをお願いします。
合田先生:
今年の3年生は部員数が少ない中、昨年の秋からたくさんの演奏会をこなしてくれて、もしかしたら今までの中でも一番苦労した学年じゃないかなって思っています。僕が生徒達を怒った回数もたぶん今までで一番多いんじゃないかな。また、僕から生徒に「それでええんか?」「今のこの状況でええんか?」といった投げかけをよくしました。その投げかけに対し生徒達は自分達なりにいろいろ考え、きちんと行動を起こしてくれました。そういったいろいろな出来事を思い返すと、3年生全員に「本当にご苦労さん」という言葉をかけてあげたいですね。
合田先生 それと、引退する3年生に聞いてみたいことで言えば、僕の中で一番こわい質問なんですけど「このクラブでよかったか?」ということですね。「果たしてこの子らは本当によかったって思ってくれるのかな」といつも僕の心の中で葛藤があります。もし、彼らが「このクラブでよかった」って言ってくれたら、それは本当に嬉しいことだなと思います。
取材班:
長期間に渡り、取材にご協力いただきありがとうございました。県立農業高等学校吹奏楽部の今後の益々の発展をご祈念申し上げます。