Vol.4 近畿大学附属高等学校 吹奏楽部
意識改革で生まれ変わった近高サウンド!

第4回「Close-up The BAND」で紹介するのは近畿大学附属高等学校吹奏楽部。近年の吹奏楽コンクールにおいて大阪府勢が目覚ましい活躍を遂げる中、同じく大阪にある近畿大学附属高等学校も成長著しい注目すべきバンドの一つに数えることができるだろう。2年前に外部より指導員として小谷康夫先生を迎え入れ、吹奏楽部員の意識改革を断行。その成果が実を結び、同校吹奏楽部としては今年7年ぶりに吹奏楽コンクールの関西大会に出場、銀賞を獲得した。自由曲の「レッドライン・タンゴ」では、指揮者と奏者が一体となったノリのいいリズミカルな演奏で会場の観客を魅了したことも記憶に新しい。
それでは、小谷先生の行なった部員の意識改革とは一体どんなものだろうか。その改革は、吹奏楽を経験した者なら誰しも一度は経験したことのある、あの挨拶の仕方を変えることから始まった。他にも立振舞や考え方を根本的に変えていくことで、次第に生徒一人ひとりの表現方法が豊かになり、音楽に対する意識も変わっていく・・・。そんな音楽を心底楽しむ部員の集まる近畿大学附属高等学校吹奏楽部の魅力に迫る。

【2008年10月21日 取材】

近畿大学附属高等学校 吹奏楽部

キーワード(1) 全国トップクラスの生徒数

生徒数

学校を訪れてまず最初に校舎の高さに驚く。校舎らしからぬ地上11階建の本館は、約3,000人の生徒数に対応できる教室数を完備。いかにもマンモス校ならではの光景だ。もちろん教室数も多いので、パート毎での練習は各部屋に分かれて行なっている。但し、難関大学への進学を目指す特進コースでは通常6限目、7限目で終わる授業が、更なる補習で8限目、9限目まで続く時もあるので、顧問の先生は楽器の音が授業の邪魔にならないように気を配りながら、部員が練習しやすい環境を作り出そうと日々努力してくれている。

生徒数 

学校全体のクラブ活動も非常に活発で、今年インターハイに出場した陸上競技部やサッカー部、水泳部、レスリング部、相撲部などをはじめ、全国的に名を馳せる強豪クラブがズラリと並ぶ。吹奏楽部も他のクラブに負けず劣らず、今年は吹奏楽コンクールで関西大会出場を果たした。このように同じ学校内で全国レベルで活躍するクラブがあるということは、高い目標を掲げる吹奏楽部員にとって、きっと良い影響を与えてくれていることだろう。

キーワード(2) 「明るい!」「楽しい!」 小谷康夫先生

小谷康夫先生

指導員として学外から吹奏楽部の指導に来られている小谷先生は、なんと現役のプロのパーカッション奏者で、現在大阪シンフォニカー交響楽団で首席ティンパニ奏者として活躍されている。吹奏楽の指導経験も豊富で、1993年~96年には同校吹奏楽部の指揮者を務め、その間吹奏楽コンクールの関西大会に4回も出場を果たした名指導者である。また、小谷先生は実に陽気で明るい性格で、その人柄がクラブ全体の雰囲気を明るくしてくれる。先生に「演奏中に一番気にしていていることは何か?」と尋ねると、「部員一人ひとりの意志がちゃんと音に表れているか」「自分自身が自主的に音楽を楽しめているか」ということが一番とのことで、音程やリズムをしっかり合わせることは先生にとっては二の次のようだ。生徒の自主性を重んじる小谷先生の考え方は、挨拶一つをとっても徹底している。機械的にみんなで声を揃えて挨拶するのではなく、バラバラになってもいいから生徒一人ひとりのタイミングで心を込めて挨拶をするように指導したほどだ。

小谷康夫先生

生徒たちに小谷先生について聞くと、「楽しく厳しく教えてくれる先生」「面白くて優しい先生」「ONとOFFのメリハリがはっきりしている先生」といった意見がよく聞かれた。楽しいだけでなく、かといって厳しいだけでもない、そんなメリハリのついた指導が生徒たちの自由で豊かな表現力を生み出しているようだ。また一方で、「いつも私たちの事を考えてくれている先生」「音楽的にも人間的にも尊敬できる先生」といった意見も多数聞かれた。外部講師という立場にも関わらず生徒からの信頼がとても厚いことが窺われる。それを端的に示すエピソードとして、生徒たちは口々に夏合宿での出来事を教えてくれた。それは厳しい合宿中の合奏の最中、小谷先生が感動のあまり急に涙を流し、生徒たちもその光景にもらい泣きをした出来事だ。そんな涙の合奏後に小谷先生が発した「みんなとても上手になった」という言葉がとても嬉しかったようで、今でも生徒たちの心に深く刻まれているそうだ。  
小谷康夫先生 ポップス曲の合奏ではいつも自らドラムを叩く小谷先生。その演奏は先生も生徒たちもとにかくみんながノリノリで、見ている方も楽しくなる演奏だ。正直、私達取材班も練習でこんなに楽しそうに合奏する吹奏楽部を今まで見たことがない。音楽をこよなく愛し、生徒たちに音楽の楽しさを伝えようとする小谷先生のその姿勢と、それに応えようとする生徒たち。両者が上手くかみ合うことで、今の近高サウンドが生み出されているのがよくわかった。

キーワード(3) 明るく前向きな部員

部員

近畿大学附属高等学校吹奏楽部の部員は、とにかく明るく前向きで、それでいてしっかりした印象を受ける。生徒の明るさは小谷先生の指導の賜物だと思うが、驚いたのは吹奏楽コンクールの関西大会の感想を聞いた時に、誰一人結果に満足せず、今のうちから来年のために基礎練習をしっかり行なっていきたいというのだ。確かに「満足したらそれで終わり」とはよく言うものの、吹奏楽コンクールが終わって間もない10月に来年のことを考え行動したいと思う前向きな姿勢は、ただ「すごい!」の一言である。

部員

また、生徒たちに質問すると必ず返ってくる言葉に「ONとOFFの切り替え」というキーワードがある。練習する時はとことん練習する一方で、楽しく笑う時には笑う。そのメリハリが、音楽面でも生活面でも良いリズム感を生み出しているようだ。

キーワード(4) 近畿大学との連携

連携

現役大学進学率約88%を誇る近畿大学附属高等学校。その内の約40%の生徒が近畿大学に進学する。附属高校ということもあり、3年間の在学中の成績によって、無試験で近畿大学に進学できる制度もある。また、高大連携も積極的に行われており、大学講義の面白さや魅力を高校生にも知ってもらおうと、近畿大学教授陣が高校生に特別講義を行なっている。

連携

同校吹奏楽部員の近畿大学への進学率も高く、結果として近畿大学吹奏楽部には同校吹奏楽部のOB・OGが多い。ちなみに近畿大学吹奏楽部は今年の吹奏楽コンクールの全国大会で金賞を勝ち取るほどの名門吹奏楽部。それだけに、母校を気にかけてくれる先輩が近畿大学の吹奏楽部に多いのは後輩には心強いことだろう。吹奏楽部の高大連携としては、年1回のペースで、近畿大学吹奏楽部と近畿大学附属高等学校の合同コンサートも行っている。この貴重な経験が近畿大学附属高等学校吹奏楽部の部員たちにいろんな意味で刺激を与えてくれることだろう。

今回4つのキーワードから近畿大学附属高等学校吹奏楽部の魅力を探っていったが、彼らの本当の魅力は、彼ら自身が音楽を心から楽しんでいる演奏そのものにある。そこでは誰かによって急仕立てで作られ表現された音楽ではなく、部員一人ひとりの意志がちゃんと表現された確かな近高サウンドがしっかり下支えしていることだろう。このサイトだけではそれをなかなか上手く伝えることはできないが、機会があれば是非一度彼らの演奏を聴いていただきたい。きっと私たちも音楽の楽しさを再認識することになるだろう。

指揮者に聞く!

指揮者に聞く

近畿大学附属高等学校吹奏楽部
指導員 小谷康夫先生

顧問に聞く!

顧問に聞く

近畿大学附属高等学校吹奏楽部
部長 青木良治先生
顧問 渡邉靖文先生

ぼくらのバンドにようこそ!