がんばる吹奏楽部にスポットライト!

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がんばる吹奏楽部にスポットライト!

Vol.07 洛南高等学校吹奏楽部

Vol.06 早稲田摂陵高等学校ウィンドバンド

Vol.05 雲雀丘学園中・高等学校吹奏楽同好会

Vol.04 近畿大学附属高等学校吹奏楽部

Vol.03 兵庫県立農業高等学校吹奏楽部

Vol.02 和歌山県立向陽中・高等学校吹奏楽部

Vol.01 大阪桐蔭高等学校吹奏楽部

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vol.05 雲雀丘学園中・高等学校 吹奏楽同好会
空
【キーワード(1) 「吹奏楽部をつくらせて!」と校長室で直談判!?】
 思わず「なぜ今までなかったんだろう」と首をかしげるほど、吹奏楽の活発な地域にありながら雲雀丘学園に吹奏楽部がなかったことに、まず私たちは意外な印象を受ける。昨年6月にようやく念願叶って吹奏楽同好会が発足したが、そこに至るまでには長い時間がかかったという。
  学校は閑静な住宅街に位置するため、生徒たちが勉強するには恵まれた環境ではあるが、一方、閑静であるがゆえに楽器を吹くことがはばかられる環境でもあり、今までなかなか吹奏楽部の実現には至らなかった。
しかし、学校で唯一の音楽教師である岡崎先生のもとには、以前から生徒による吹奏楽部設立を求める声が寄せられていたという。ある時、吹奏楽部設立を求める数名の生徒達が校長室をたずね、校長先生に吹奏楽部切望の想いを直接伝えた。その後地道な努力を重ねてより多くの部員を集め、そして昨年5月、教員の協力、保護者の応援のもと、
生徒の想いがついに先生たちの心を動かし、職員会議にて吹奏楽同好会としての活動が承認された。ようやく、この雲雀丘学園中・高等学校にブラスバンドが誕生したのである。

【キーワード(2) 楽器がない…場所もない…】
  同好会発足時は学校には当然楽器も楽譜も譜面台も何もなかった。でも楽器がなければ部員たちは活動できない。そんな状況だけは何としても避けたいと、顧問の先生は職員会議承認から活動開始までの1ヶ月間、
楽器を借りるために大学や中学校などを必死で走り回ったという。一から立ち上げる故の苦労である。
  苦労は他にもある。まだ「同好会」であるため、唯一の練習場所である音楽室を使える日も限られており、練習時にはすべてのパートがそこで各々音出しを行なう。そのため楽器によっては自分の音を聞き分けにくく、決していい練習環境とは言えない。
また、メンバーの約半数が初心者のため、パートによってはなかなか思うように練習も進まず、いつも手探りの状態だ。そんな部員たちのため、顧問の片谷先生は知り合いのプロの演奏家を招いてパート別に順次クリニックを行なっている。部員たちに話を聞くと、随分刺激を受け勉強になったそうだ。
  そんな中、吹奏楽同好会にさらなる試練が訪れる。唯一の練習場所であった音楽室が、高校新校舎建替工事のため近々取り壊されることになったのだ。新校舎ができるまでのしばらくの間は、多目的ホールを演劇部と共同で使用することになる。部員にとってはより練習時間が制限される厳しい環境となるが、最初何もなかったところから今日までを築き上げた部員たちなら、きっと明るくこの困難を乗り越えてくれることだろう。

 
【キーワード(3) 片谷先生】
  「昨年の5月に職員会議で同好会が認められてから半年余り、全力で走り続けてきたように思う」と語る片谷先生。楽器集めに奔走したり、パート練習を充実させるため大阪経済大学吹奏楽総部との合同練習を行なったり、指導不足を補うためプロの演奏家によるクリニックを行なったり…と、部員たちの活動をサポートするために本当に息つく間もなかったようだ。生徒たちの「吹奏楽をやりたい」という熱い想いに応えるべく、先生の指導にも熱が入る。だが、未だ楽器不足には悩まされ、「4月に新入部員を迎えることができるのか、とても心配」と不安は尽きないようだ。
  生徒たちからの評判はとても良く、「優しくて面白い先生」「音楽が大好きな先生」「親しみやすく相談しやすい先生」など、信頼も厚い。また、「今、定期演奏会用に練習している『ウエスト・サイド・ストーリー』の楽譜は、実は先生の手書きなんです。もしかしたら、パートに偏りがある私たちのために、編成し直してくれたのかも…」という生徒の話からも、先生の吹奏楽同好会に懸ける想いの大きさが窺える。
  そんな苦労の多い片谷先生だが、生徒たちに対しては「ここまでやって来れたのは、本当に生徒たちのおかげです。人数が増え、技術が上達しても、今音楽のできる素直な喜びの気持ちをずっと忘れないでほしい」と感謝の気持ちでいっぱいだ。

【キーワード(4) 一緒に創り上げた仲間たち】

 メンバー同士が信頼関係を築くことはどんなバンドにおいてもとても重要なことだが、この雲雀丘学園中・高等学校吹奏楽同好会のメンバーは本当にみんな仲が良く、アットホームな明るい雰囲気で活動をしている。
  伝統もルールもないゼロからのスタートの中「一緒にバンドを創り上げて行こう!」という共通のビジョンや目標で結ばれた彼らは、とまどいや不安もあっただろうが、学年や経験・未経験という枠を超えてお互いを支え合い、様々な苦難を乗り越えてきた。
  他の吹奏楽部の高校生とはまた違う、吹奏楽の楽しさや厳しさの経験を共有した彼らだから創り出せる音楽、それはきっと聴衆を大いに楽しませてくれることだろう。

  まだバンドとしては生まれたばかりだが、吹奏楽ができることの喜びに溢れ、音楽を素直に楽しむパワーに満ちた雲雀丘学園中・高等学校吹奏楽同好会。今後このバンドがどのように進化し、どのような音楽を奏でてくれるのか、今からとても楽しみだ。

【2009年2月5日 取材】