雲雀丘学園中・高等学校吹奏楽同好会 顧問 片谷治生先生

片谷治生先生
プロフィール
音楽は人、音楽は真実 みんなでがんばろう

昭和31年生まれ。中学校時代には吹奏楽部でクラリネットを担当。当時吹奏楽部のなかった大阪府立千里高等学校入学後、部の創設に関わり、第2代部長に就任(学生指揮者も兼務)。大学時代には学内のオーケストラに所属しトロンボーンを担当。3回生からは豊嶋和史氏に指揮法を学び学生指揮者となる。
大学卒業後教員になってからは、愛知県立東海南高等学校や大阪府立高槻南高等学校の吹奏楽部顧問を歴任。その後、大阪府立芦間高等学校ではアメリカンフットボール部の顧問を5年間務め、平成19年4月に雲雀丘学園に着任。昨年5月に吹奏楽同好会の立ち上げを支援、顧問となる。

取材班:
雲雀丘学園の特徴をお聞かせください。
片谷治生先生
片谷先生:
僕も2年前にこの学校に赴任してきたものなので、こちらではまだ新米の教師なんですけど、宝塚の山の手にあってとても環境がいいし、先生方もすごく生徒を大切にする方が多いなっていうのがまず第一印象でしたね。生徒には音楽の素養のある子も多いです。それと、大阪市内から来ている子、豊中や池田から来ている子、神戸や宝塚や伊丹から来ている子など、割と広範囲から生徒が集まってきているのも特徴で、生徒たちが雲雀丘学園で学びたいっていう強い気持ちを持って通学しているので、理想的な学校かなと思います。

取材班:
生徒数はどれくらいですか。
片谷先生:
高校は1学年7クラスなので、1学年の生徒数は約250~270人ぐらいですね。ちなみに学園内には中学校の他に小学校・幼稚園も併設しており、中学校は1学年4クラスで、1学年の生徒数は約160名ぐらいです。
取材班:
雲雀丘学園の場合、中高6年一貫教育というイメージがありますが、外の中学校から雲雀丘学園高等学校に入学される方も結構おられますか。
片谷先生:
そうですねえ。雲雀丘学園高等学校の場合、7クラスのうち4クラス分は雲雀丘学園中学校の4クラスの生徒がそのまま高校に進学し、残りの3クラス分は他の公立中学校を卒業した生徒が中心となって入学して来られます。なので、高校では雲雀丘学園中学校卒業生とその他の中学校卒業生が混ざった形で学園生活を送ることになりますね。
取材班:
中高6年一貫教育の学校の場合、クラブによっては高校生と中学生の混合クラブという形態をとられる学校をよく見かけますが、雲雀丘学園の場合はどのような形態を取られていますか。
片谷先生:
運動部の場合、どうしても高校生と中学生では体力差があるので、例えば野球部だったら、高校の野球部は硬式、中学校の野球部は軟式と完全に別にしています。他にサッカー部もそうですし、バレーボール部やバスケットボール部も一緒に練習することはあるかもしれないですけど、基本的には別です。
文化部の場合、ほとんどのクラブが一つの部として6学年一緒に活動しています。だから吹奏楽も同様です。但し吹奏楽の場合は同好会ができてまだ一年も経たないので、中学生はほとんどいません。
片谷治生先生 最初に吹奏楽同好会をつくりたいって言い出したのは高校1年生、2年生の生徒たちなんですよ。だから今現在、部員のほとんどは高校生で占められています。でも実は、中学1年生の部員が一人います。別に中学生を締め出すつもりは全くないんです。ただ、予算もないし、楽器もないという状態からスタートした真新しい同好会なので、楽器のことはもちろんのこと、部員たちも自分に必死で他人に楽器を教える余裕もまだなく、正直なところ、今中学生に入部されても困るなって思っていたんです。だから中学生が見学に来ても「この同好会に入れないわけじゃないけど、部員は高校生ばっかりだからな。どうする、やめとくか。」とかそんな風に言ったりもしました(笑)。でも、今同好会に一人いる中学生は懲りずに何度も何度も僕のところに来て「入りたいです!」と言うんです。だから僕も「じゃあ入るか!」って。考えてみれば嬉しい話ですよね。

取材班:
同好会に一人でも中学生が入っていると、来年以降も中学生が入ってくる可能性が広がりますよね。
片谷先生:
他の中高一貫学校の吹奏楽部の顧問の先生とお話をすると、「生徒が中1の時から練習を見てあげることができるっていうのはいいですよ。」って言われます。まあ、「生徒を育てる」って言うんですかね。だから、うちもそうしないといけないのかなって思っています(笑)。
取材班:
片谷先生の学生時代の吹奏楽プロフィールをお聞かせください。
片谷先生:
中学校では吹奏楽部に入部し、3年間クラリネットをやっていました。しかし高校では、最初僕が入学した当時は学校に吹奏楽部がなかったんです。その後、僕の先輩が吹奏楽部を創部し、僕が2代目の部長を務めました。でも練習時間になっても部員はパラパラの状態だったんですよ。だからあんまり活動らしい活動が3年間できませんでした。大学では学内のオーケストラに所属していました。こちらは活動が活発な大きいオーケストラでしたね。
取材班:
片谷先生は学生時代は指揮者もされていたそうですね。
片谷治生先生
片谷先生:
そうですね。高校の時も学生指揮者をやっていましたけれど、クラブが立ち上がったばかりで部員数も少なかったので、ほとんどやっていないようなものでしたよ。大学に入ってからは3回生の時に学生指揮者になりまして、オーケストラで指揮を振っていました。

取材班:
教員になられてからも吹奏楽には関わられていたのですか。
片谷先生:
教員になって最初に赴任した学校は愛知の県立東海南高等学校だったんですけど、そこには吹奏楽部がありまして、そこの顧問を5年間やりました。その後、大阪の府立高槻南高等学校に移りまして、そこでも吹奏楽部の顧問をやりました。
取材班:
じゃあ両学校では指揮を振られていたんですね。
片谷先生:
指揮は振っていましたよ。吹奏楽コンクールにも出ていましたし、演奏会も開催していました。
取材班:
でも、赴任された大阪府立芦間高等学校では先生は吹奏楽部の顧問をされていませんが、吹奏楽部がなかったのですか。
片谷先生:
大阪府立芦間高等学校には吹奏楽部はありましたが、吹奏楽をやっていた教員は世の中にいっぱいいて、多くの学校は顧問の先生もすでにおられるんですよね。それでその学校では「誰も顧問がいないからやってくれ」ということで、アメリカンフットボール部の顧問になったんですよ(笑)。ただ顧問ではありませんでしたが、吹奏楽部の演奏会前には指導に行っていましたね。
取材班:
やっぱり先生は吹奏楽が大好きなんですね。
片谷先生:
はい(笑)。大阪府立芦間高等学校には吹奏楽のできる先生がおられたので、その方が中心となって指導されておられたんですけど、その先生も一人だと大変だというのもあって、僕は指揮を振るなど先生のお手伝いをしていました。だから結局、そこでも吹奏楽をやっていましたね(笑)。
取材班:
次にこの雲雀丘学園中・高等学校吹奏楽同好会がどのようにして立ち上がったのかをお聞かせください。
片谷先生:
片谷治生先生
うちの高校唯一の音楽教師である岡崎先生のところに、「先生、この学校には吹奏楽部はないんですか」という生徒たちからの問いかけがいくつかあったそうなんです。その生徒たちからすれば吹奏楽部は当然あると思って入学したものの、入ってみると「えっ!ないんですか」って。そんな会話が岡崎先生と生徒の間であり、最終的に吹奏楽をやりたいという生徒が15人くらい集まって、そこで吹奏楽の経験があった僕も協力して、「なんとか吹奏楽部をつくろう!」ってことになったんです。


取材班:
同好会が発足した時は、全校生徒に「吹奏楽同好会ができましたよ」って宣伝されましたか。
片谷先生:
それはしました。全校集会で「吹奏楽部ができました」って。それで今の部員数になりました。但し、こっちもあまり楽器がなくこれ以上部員数が増えても今は困るんで、あんまり積極的に宣伝はしませんでした。
取材班:
ちなみに今は同好会ですが、これがクラブに昇格するには何か決まり事があるのですか。
片谷先生:
特に何年間とかいう決まり事はないんですけど、ある程度活動実績を積んで、部員数も増えたら正式なクラブにしてくれるという話です。そうなると学校から少し予算を立てていただけます。でも、楽器を買うほどのお金はいただけませんよ(苦笑)。
取材班:
その後今に至るまでに先生もいろいろなご苦労をなされているとは思いますが、何かエピソードをお聞かせください。
片谷先生:
昨年の5月の職員会議でようやく同好会をつくることが認められたものの、最初は、「さあどうしよう」って思いましたね(笑)。なにしろ学校には楽器は一つもありませんし、楽譜もないし、譜面台もありません。だから5月~6月の一ヶ月間は、顧問二人が楽器を貸してくれそうな今までの繋がりのあるところに電話をしたり、走り回ったりして、必死で楽器を集めましたよ。最初の部員数が14、5人だったので、とにかくその人数分だけは楽器、譜面台、教則本を何としてでも用意しないといけなかったのでね。だから、今うちにあるものはほとんどが借りものです。 でも嬉しいことに、この同好会を応援してくれる保護者の方もおられまして、その方に譜面台やいくつかの楽器を寄贈してもらったんです。それで今何とかやって行けているっていう感じですね。でも楽器を借りるために動きまわっているのは、実は今もそうなんですよ。今でも学校の楽器なんて一つもありませんから、借り先から「楽器を返して」って言われたら、それで終わりなんですよ。
取材班:
部員に吹奏楽経験者はおられますか。
片谷先生:
そうですね。雲雀丘中学校以外から入学してくる生徒の中には吹奏楽経験者が結構たくさんいて、実際部員の約半数は経験者が占めています。でも、そういった生徒にもある程度のブランクがあるわけですよ。高2生だったら丸一年、高1生でも少しはブランクがありますので、結局は初心者の生徒と同じようにみんなで一緒にロングトーンをしたり、教則本(ティップス・フォー・バンド)を使って練習をしています。
取材班:
パート毎の練習などはありますか。
片谷先生:
残念ながら、パートの人数、練習場所、個々の技術力、そして指導面においてもパート毎の練習はいろいろ難しく、現在は一つの場所で全員一緒に練習をしています。
取材班:
そう言えば、指導の一環としてプロの演奏家によるクリニックをすでに2回行なっておられますが、やっぱりクリニック後の生徒に変化はありますか。
片谷先生:
やっぱり違いますね。僕がいくら指導する立場であっても、所詮楽器のことについては素人ですから。プロの方が言うことは全然違いますよ。今までにクラリネットとサックスのクリニックを行ないましたが、順次他の楽器についてもやっていこうと思っています。
   

片谷治生先生


取材班:
あと、この3月に自分たちの演奏会を開催するとお聞きしましたが、同好会が誕生してまだ一年も経過していないことを考えると、少し時期が早い印象を受けましたが。
片谷先生:
確かに3月の演奏会は相当決断に悩みましたね。そりゃだって、昨年の6月に同好会が発足して演奏会が3月ですからね。ただ、3月の演奏会会場を予約したのは昨年の6月1日なんです。つまり昨年の5月に職員会議で決まると、すぐに会場予約に行っているんですよ!岡崎先生と相談してとりあえず会場だけでも押さえておこうかって。そしてある時点で演奏会を開催できる技量にまで達していないと判断したら、その時は会場をキャンセルしようって。まだ同好会として一度もみんなで練習もしていないのに、演奏会会場は押さえちゃいましたね(笑)。
取材班:
この演奏会がなかったら、文化祭以降生徒たちは演奏する機会が何もなかったわけですよね。
片谷先生:
片谷治生先生
そうなんですよ。これがなかったら、9月上旬の文化祭以降演奏するステージの場が何にもなかったんですよ。だから今は「あって良かったな」って。まあたいした演奏はできませんけど、こうして部員のみんなが頑張ってるのを見ると、演奏会があって「本当に良かった」って思います。


取材班:
取材中の今、私の耳に聞こえてくる分には結構音が鳴っていますもんね。それも、やっぱり演奏会が目の前にあるから、これだけ音が鳴っているのだと思いますよ。
片谷先生:
そうですか(笑)。でも生徒たちには基礎練だけは口酸っぱく言っています。
取材班:
片谷先生にとって今一番のお困り事や心配事は何ですか。
片谷先生:
今一番の心配事としては、4月に新入生を迎えるにあたり、教えるという経験のない今の部員たちが、ちゃんと後輩の面倒を見れるのかということです。それと、やっぱり楽器と練習場所の確保ですね。おそらく4月に10人は入部してくると思うんですよ。雲雀丘中学校の生徒も入れたら、ひょっとしたら2、30人入ってくる可能性もあります。その時にどうすればいいかを今かなり悩んでいますね。まず、その人数でやれる体制が実際に組めるかっていう問題が出てきます。なにしろ練習場所がないんですよ。今使っているこれぐらいの大きさの部屋に2、30人入って一緒に練習できるのかなって。
取材班:
そう言えば、2010年の高校新校舎完成に向けて校舎の建て替えがいよいよ始まるそうですが、練習場所の確保は大丈夫ですか。
片谷先生:
今のところは中学校校舎の上の方に多目的ホールがあるので、そこに移動することにはなっています。ただ、そこは演劇部と吹奏楽同好会が共同で使うので、実際のところしっかり使えるのは週に2,3回だけです。残りはホールの片隅で練習したり、講堂で練習したりとその日その日で場所は変わります。
取材班:
この学校の周りは閑静な住宅街なので、やっぱり外で練習するのは難しいのでしょうね。
片谷先生:
それは、絶対無理ですね。
取材班:
片谷先生は今後この同好会をどのようにしていきたいとお考えですか。
片谷先生:
どのようにと言われても、もう始まってしまったのでこのまま突っ走るしかないですよ、もうそれしかないです...はい(笑)。僕自身、14年ぶりで待ちに待った吹奏楽部の顧問です。ただ、クラブは基本的に生徒のものです。演奏面でも運営面でも生徒の考えを尊重し、時には失敗するかも知れませんが、お互いに成長できるようになればいいなと思います。
あと、一つの達成すべき目標として、来年は吹奏楽コンクールにも挑戦したいと考えています。実はついこの間吹奏楽連盟に電話したんですよ、「吹奏楽コンクールに出るにはどうしたらいいですか」って。そしたら、「まずは連盟に加盟してください」って言われましたよ。だから次に「加盟するにはどうしたらいいですか」ってね(笑)。とにかくまだまだ右も左もわからない状況です。
取材班:
最後に生徒たちにメッセージをお願いします。
片谷先生:
ここまで来れたのは、本当に素直な部員たちのおかげです。同好会として立ち上がったばかりで楽器も楽譜もないとわかっているのに入部してくれた部員たち。何一つ文句も言わず理解してくれた部員たち。ゼロからのスタートを顧問と一緒になって支えてくれた君たちのおかげです。
君たちに対して、不十分ながら私の知識と経験で持って、お返しをしたいと思っています。今、音楽ができる喜びを大いに味わっている君たち、技術的には確実にアップしています。部員が増えて上手になっても、今のその素直な気持ちを決して失わないようにして欲しいと思います。
今後は、音楽を愛する君たちに対して、「音楽をするとはどういうことなのか」「音楽で何が伝わるのか」「音楽とは何なのか」ということを、日々の練習を繰り返しながら考えていきたいと思います。共に頑張りましょう。
取材班:
インタビューにご協力いただきありがとうございました。雲雀丘学園中・高等学校吹奏楽同好会の今後の益々の発展をご祈念いたします。