Vol.6 早稲田摂陵高等学校 ウィンドバンド
吹奏楽の歴史を背負う音楽隊

今回「Close-up The BAND」で紹介するのは、大阪の茨木市にある早稲田摂陵高等学校ウィンドバンド。吹奏楽では馴染みのない学校名だが、昨年まで「向陽台高等学校ウィンドバンド」という名前だった、と聞けばお分かりになる方も多いことだろう。
吹奏楽のパイオニアとして50年前に創立された「阪急少年音楽隊」の伝統とサウンドを継承する歴史あるこのバンドは、今春から早稲田摂陵高等学校ウィンドバンドとして新たな一歩を踏み出した。

早稲田摂陵高等学校ウィンドバンドは、「普通科吹奏楽コース」に在籍する生徒全員(1学年30名までの少人数教育)で構成されており、「音楽で躍動と感動を!」を合い言葉に生徒達は日々練習に励んでいる。
伝統と実力を併せ持つ人気バンドだけに様々な行事に招待されることも多く、演奏機会もかなり多い。ブラスエキスポ、3000人の吹奏楽、吹奏楽コンクール、マーチングコンテスト、全日本高校吹奏楽大会、定期演奏会、その他招待演奏など、年間を通じての演奏機会は実に約40ステージにも及ぶ。さらに演奏プログラムはそのステージ毎に変更するというのだから驚きだ。
また、定期演奏会は毎年ザ・シンフォニーホールで行われ、いつも満員の観客で埋め尽くされる。
年間の演奏スケジュールについて、多くの方から学校にも問い合わせがあるそうだ。このように子どもからお年寄りまで幅広い年齢層に愛される、早稲田摂陵高等学校ウィンドバンドの魅力に迫る。

【2009年8月19日 取材】

早稲田摂陵高等学校 ウィンドバンド

キーワード(1) 受け継がれていく伝統

伝統

早稲田摂陵高等学校ウィンドバンドは、1959年に世界で初めてステージマーチングを披露した阪急少年音楽隊の伝統を脈々と継承する後継バンドである。阪急少年音楽隊は1957年、阪急百貨店の社員養成機関として創立されたが、2004年には向陽台高等学校吹奏楽コース(向陽台高等学校ウィンドバンド)として継承され、そして今年の春、早稲田摂陵高等学校吹奏楽コース(早稲田摂陵高等学校ウィンドバンド)として新たなスタートを切った。これまでに阪急少年音楽隊時代から数えると、全日本マーチングコンテストで通算10回の金賞を受賞した実力派バンドだ。マーチングでは、足を90度の角度まで上げるカレッジスタイルを伝統として受け継いでおり、その完成されたスタイルは数あるマーチングバンドの中でも一際目を引く存在だ。

伝統

また、阪急少年音楽隊の創立当時の隊長である故鈴木竹男氏が目指した、「音楽」「勉学」「生活」を頂点とした三角形をバランスよく大きくしていく生徒指導の理念や、音楽を愛する立派な社会人を育てる人格形成の精神も、阪急少年音楽隊時代から変わらぬサウンドやスタイルと共に、早稲田摂陵高等学校ウィンドバンドへしっかりと受け継がれている。

キーワード(2) 少人数精鋭教育

伝統

「早稲田摂陵高等学校ウィンドバンド」は、早稲田摂陵高等学校の中の「普通科吹奏楽コース」の生徒達で構成されている。1学年1クラスで、現在の生徒数は3学年合わせても39名。このような少人数精鋭教育にこだわるのには理由がある。それは、生徒一人ひとりの音楽面・勉強面・生活面におけるバランス良い成長を目指す上で、少人数精鋭教育なら、先生が生徒の面倒をきっちり見ることもできるし、生徒の個性を重視した指導も行うことができるからである。

伝統

その結果、次第に先生と生徒が厚い信頼関係を築き合い、お互いに心が通じ合うことで、吹奏楽でもいい効果を生み出しているのだろう。まさにこの少人数精鋭教育こそが、このバンドの音楽の根幹を支えているのかもしれない。学校側としては、来年はもう少し余裕をもった音楽活動を行うためにも生徒の数を少し増やしたい考えだが、それでも徹底した少人数精鋭教育を貫く方針だ。

キーワード(3) 阪急少年音楽隊の精神を受け継ぐ先生たち

先生

早稲田摂陵高等学校吹奏楽コースでは、3人の熱き指導者が音楽指導を行っている。監督である西出先生は、鈴木竹男先生から西宮市立今津中学校時代に吹奏楽の指導を受け、その後阪急少年音楽隊に入隊。卒業後も阪急百貨店に勤めながら阪急百貨店吹奏楽団で活動を続けるなど、鈴木先生と長い間間近で一緒に音楽活動をされてきた教え子の一人だ。鈴木先生が亡くなられた今、鈴木イズムを次世代に伝承する数少ない指導者であり、このバンドにはなくてはならない先生である。
指揮者の川口先生も阪急少年音楽隊の卒業生で、主にマーチングの指導を担当されている。阪急少年音楽隊の伝統を受け継ぐこのバンドにとってマーチングは特別なものであり、長い歴史の中でマーチングのスタイルも見事に確立されている。そのため、音楽隊のOBである川口先生の存在は心強い限りだ。

先生

指揮者の井上先生は2人の先生とは経歴が異なり、阪急少年音楽隊の卒業生ではない。だが、阪急少年音楽隊の昔からの大ファンである。
大学時代に鈴木竹男先生から指導を受けたことが縁で親交が始まり、5年前に当時既に体調の思わしくなかった鈴木先生から誘いを受けた時には、大手都市銀行に勤めていたにも関わらず会社を辞め、前身の向陽台高等学校ウィンドバンドに単身赴任で乗り込んだ、音楽隊をこよなく愛する熱い先生である。
このような3人の先生が指導しているからこそ、早稲田摂陵高等学校ウィンドバンドの演奏は、阪急少年音楽隊時代からのファンの心を裏切らない、伝統のサウンドをいつまでも奏でてくれるのだろう。

キーワード(4) 憧れの音楽環境

音楽環境

早稲田摂陵高等学校普通科吹奏楽コースの魅力は、その歴史あるウィンドバンドのスタイルや各種大会の成績、少人数精鋭教育以外にも、個人の能力を最大限に引き出してくれる恵まれた音楽環境が挙げられる。  具体的には、①吹奏楽を通じて音楽の実技・理論を学べる授業カリキュラムが組まれている。②吹奏楽の練習時間が保証されている。③各界で活躍する各楽器のプロ奏者からマンツーマンでレッスンが受けられる。④個人レッスン用に、冷暖房・防音設備完備のレッスン室がある。

音楽環境

⑤レコーディング設備が常設された合奏室がある。⑥吹奏楽コンクール・マーチングコンテスト・3000人の吹奏楽・アマチュアトップコンサートその他招待演奏など、年間約40ステージもの多くの演奏機会が与えられる。⑦憧れのザ・シンフォニーホールで毎年定期演奏会が開催される。⑧3年に1度海外で演奏活動を行うなど、他の学校から見ると羨ましいぐらいの充実した音楽環境である。

キーワード(5) 「このバンドで演奏したい」と、一つに集まった生徒達

生徒達

生徒達にこの学校への入学の動機を訪ねると、「中学生の時に見たウィンドバンドのマーチングに感動して、絶対ここで演奏したいと思っていました」という答えが口々に返ってくる。在籍するメンバーみんなが「このバンドで演奏したい!」という強い志や憧れをもって入学しているところからも、このウィンドバンドがいかに魅力的なバンドなのかがよく分かる。
 パート練習では、限られた時間をフルに活用する姿が見られた。端から見ると演奏機会も多く大変そうだが、本人達は「『大変』な気持ちより『楽しい』という気持ちの方が大きいです」「みんな向上心を持って音楽に臨んでいるので、そんな中にいると自分もやりがいを持てますし、演奏を聴いてくれるお客さんの事を思うと大変でも頑張れます」とハキハキと答えてくれる。
何をするにしても非常に爽やかな印象で礼儀正しい彼女達。楽器運び一つをとっても、上級生が指示を出し、お互いに協力しあってテキパキと行う。この団結力こそがこのバンドの魅力であり、それは「一つ一つの演奏機会を大切にしながら、お客さんのために素晴らしい演奏をしようと思う真摯な気持ち」をメンバーみんなが共有し合うことで生まれているようだ。

生徒達

充実した音楽環境と確かな技術を持った先生達に支えられながら、日々練習に熱心に取り組む早稲田摂陵高等学校ウィンドバンド。阪急少年音楽隊から受け継いだ伝統に対し、時にはプレッシャーを感じることもあるだろうが、演奏を心待ちにしているファンの存在が、彼女達の何よりもの励みになっていることであろう。早稲田摂陵高等学校としてスタートを切った今、新たにどのような歴史を築いてくれるのか、彼女達の今後の活躍に期待が高まる。

生徒達

指導者に聞く!

指導者に聞く

早稲田摂陵高等学校ウィンドバンドを支える4人の先生に直撃取材。
ウィンドバンドの歴史や特徴、多くの行事に参加する舞台裏や、音楽に対する熱い想いなどを伺った。

ぼくらのバンドにようこそ!

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