Vol.8 箕面自由学園高等学校 吹奏楽部
音と心が共鳴する、情熱エンターテインメント

今回の「Close-up The BAND」で紹介するのは、大阪にある箕面自由学園高等学校吹奏楽部。
彼らはブラスエキスポや3000人の吹奏楽にも出演し、全日本マーチングコンテストで3回の金賞受賞を果たす実力派集団だ。いつも元気な笑顔であふれ、魅力的なステージで観客を楽しませてくれる彼らの舞台裏とは? 明かされる数々の秘密に目が離せない!

キーワード(1) 体力づくりでエアロビクス7曲!?

「息」で音を作り出す吹奏楽では、身体も楽器の一部。 体力づくりは必要不可欠だが、ここでは珍しくエアロビクスを取り入れている。部員たちが選んだ「持ち曲」の中から毎回7曲約35分間を踊り続けるという、なかなかハードな内容だ。しかし誰もが満面の笑顔で音楽のリズムに乗り、身体を動かすことを楽しんでいる。マーチングリーダーがマイクを片手にリードし、皆もそれに応じて声を出しながらノンストップでジャンプやスクワットに励む様子は、普通の体力トレーニングとは一線を画す光景だ。
「エアロビクスは、皆で楽しみながら元気にやっています!」「1年生の入部したての頃は確かにしんどかったですが、ノリのいい曲でだんだん楽しくなってきました。」「しんどいことも楽しんでやろうという雰囲気があります。おかげで男子も女子も足の筋肉がすごいです(笑)。」全員参加で声を出しながら行うエアロビクスは、体力を養う以外にも、皆に笑顔やチームとしての一体感をもたらしている。先輩から受け継いできたという独特の体力づくり。これがマーチング強豪校たる強さの秘密の1つなのだろう。

エアロビクス エアロビクス エアロビクス

キーワード(2) 思いの共有で一つにまとまっていく部員たち

一つにまとまっていく部員たち

箕面自由学園高等学校吹奏楽部は、吹奏楽コンクールやマーチングコンテストをはじめ、3000人の吹奏楽やブラスエキスポ、さらには箕面市ブラスフェスティバルや豊中市吹奏楽の集いなどの地域イベントまで、年間30ステージを超える活動を行っている。一番印象深いイベントを1年生部員に聞いてみると、入部してから初めての大舞台ということもあり、3000人の吹奏楽という答えが大多数。「先輩方にいろいろ教わりながら、みんなで頑張ってできた舞台だと思います。」「練習は大変だったけど、本番が終わってからの達成感とうれしさが想像以上でした。」「中学生の時に3000人の吹奏楽で箕面自由学園高等学校を見て憧れて入部したので、その舞台に立てた時の感動は忘れられません。」と感動もひとしおのようだ。マーチングに関しては本格的な経験者も少ないため、先輩が後輩へ教えることも多く、そういった生徒同士で助け合う経験もチームワークの育成に一役買っているようだ。
一つにまとまっていく部員たち また、クラブをまとめるであろう3年生部員に部活動の運営について聞いてみると、「人数が多いから大変、という印象はあまりありません。3年生がまとめると言うよりも、みんなが自然にまとまっていく感じです。」とのこと。また演奏することへのモチベーションについて聞いてみると、「自分たちがやりたいっていうのももちろんあるんですけど、でも皆の根底にあるのは"お客様に楽しんでもらいたい、喜んでもらいたい"っていう思いが一番なので、その中で一人ひとりが考えて動いていく感じです。」「地域のイベントなどお客様との距離が近い演奏会もあるので、お客様が楽しんでいる反応をすぐそばで見られたりするのはこちらとしても嬉しいですね。」と話してくれた。 一つにまとまっていく部員たち お客様のためにという思いで日々練習に励む彼らは、部員数144名という大所帯でありながら、全員が全員の顔と名前を覚えているという。そんな部員たちの仲の良さについて1年生部員に聞いてみると、「誰もが、先輩・後輩の関係なく何でも言い合える間柄です。」「皆が部員一人ひとりのことを考えていて、仲が良くて...家族みたいな感じです。」と、まるで家族経営の楽団一座のような親しみやすさで、伸び伸びと全力で音楽に取り組んでいることが感じられた。日々の練習の中で共有される思いが、部員たちの仲の良さや自然にまとまる力を生み出しているようだ。

ぼくらのバンドへようこそ!

サックス パーカッション クラリネット 「ボケとツッコミ、両方そろってます!皆仲良し(笑)。(サックス)」「打楽器は『打つ』楽器ですが『吹く』気持ちも考え、ソルフェージュもやっています。(パーカッション)」「チューニングでは一人ひとりの音を皆で確認するようにして気をつけています。(クラリネット)」

フルート オーボエ・ファゴット トロンボーン 「練習はパートリーダーを中心に楽譜を歌ったり、足でリズムを踏んだりしています。(フルート)」「優しい先輩です!/おもしろい後輩がいます(笑)。(オーボエ・ファゴット)」「メロディを担当することも多いので、音程に気をつけてスケール練習したりしています。(トロンボーン)」

ホルン コントラバス トランペット 「準備や片付けもテキパキと、一人ひとりが自分で考えて行動します。(ホルン)」「マーチングの時は別の楽器に持ち替えます。憧れの箕面自由のマーチングバンドで今演奏しているんだ、と胸を張って。(コントラバス)」「先輩後輩関係なく、思ったことを言い合える良い雰囲気。とても優しい3年生、笑い大好きな2年生、元気で明るい1年生。(トランペット)」

チューバ ユーフォニアム
「『Go! BEARS!!』とキメた時の360度からくるお客さんの拍手。いくらつらくてもこれがあるからやめられません。(チューバ)」「笑顔日本一、仲間日本一、真っ向から音楽に向き合える最高のクラブです。(ユーフォニアム)」

キーワード(3) 「音楽」と「部員」を愛してやまない福里先生

福里先生

100名を超える箕面自由学園高等学校吹奏楽部を一手に指導するのが顧問の福里大輔先生だ。福里先生は、音楽大学・声楽科を卒業後、1991年に非常勤講師として同校に赴任。2年後、音楽教諭、さらに吹奏楽部顧問として就任し、以来22年間、生徒とともに歩んできた。「良いときも悪いときもハッキリ言ってくれる。」
顧問に聞く 「一人ひとりの弱点を分析して、的確なアドバイスをくれる。」と部員たちからの信頼も厚い。そんな福里先生に、箕面自由学園高等学校吹奏楽部の魅力について伺った。

顧問に聞く!

キーワード(4) "歌の力"で、心を届ける

箕面自由学園高等学校吹奏楽部は、練習に合唱やリトミックを取り入れている。各パートがそれぞれ自分の担当楽器の音を歌うことで、パート内でのアンサンブルや他パートとのハーモニーを身につけるのだ。さらに足でリズムを踏んだり手を叩いたりして、曲のリズム感やビートの違いなどを、全身を使って理解していく。

だが、箕面自由学園高等学校吹奏楽部のすごい所はここからだ。顧問の福里先生が声楽科出身ということもあり、音楽理解はフィジカルな面だけにとどまらない。ある合奏練習の最中、福里先生が生徒たちに呼びかける。「ほら!想像して?」彼らは楽器を置き、真剣に歌詞に出てくる「出会い」について考えていた。
そして、自分たちなりの「出会い」を思い浮かべ、歌に感情を込める。すると、とたんに声色が柔らかく切なくなったのだ。声色の変化を全員で確認し、また楽器を手に取る。そして楽器を鳴らすと、驚くほどに音に感情が乗って響き渡った。 演奏者の意思によって音色が変わる吹奏楽。歌詞の意味や感情の動きをとらえているからこそ、彼らの演奏は人の心を打つのだろう。

キーワード(5) 挑戦し続ける前向きな姿勢

箕面自由学園には「クラブ選抜コース」があり、吹奏楽部も強化クラブに指定されているためクラブ推薦入試制度がある。当然部員にもそのコースで入学してきた者はいるが、コースに関わらず皆が分け隔てなく練習に取り組んでいる。吹奏楽部は箕面自由学園が誇るクラブチーム「GOLDEN BEARS」としての活躍も多く、年間を通して様々なイベントに参加している。また、毎年3年生のキャプテンが年間の練習課題を1つ決め、同じく3年の各パートリーダーが中心となって全員でそれに取り組んでいる(ちなみに今年は「音程」である)。先輩後輩の上下関係だけでなく、同学年の横のつながりも大切にしながら、毎年少しずつ全体のレベルアップを図っているのだ。「練習が大変な時もありますが、でも好きだからこそ妥協したくない。」「全力でやりきるからこそ、演奏が終った瞬間のお客さんからの拍手が本当に嬉しくて...達成感があります。」「定期演奏会の出し物は自分たちで案を出せば採用されたりするので、やっていて楽しいしやりがいもあります。」自ら考えて自ら練習する。様々なイベントで客席を湧かせるパフォーマンスの舞台裏では、妥協しない音楽への挑戦が日々繰り広げられているのだ。

最後に

舞台の上でも学校の練習場でも、いつも明るくキラキラした笑顔の箕面自由学園高等学校吹奏楽部。彼らが失敗することを恐れず、いつも前向きでいられるのは、共に努力を重ねてきた仲間たちとの信頼関係が築かれているからなのだろう。そしてそこには先輩から後輩へと受け継がれる「一人ひとりが考えて動く」自主性の精神や、皆が楽しんで取り組める練習方法、何より「お客様に楽しんでもらいたい」という共通の思いがある。自ら音楽を楽しみながら、その楽しさと感謝の気持ちを伝えようとする彼らの音色は、いつも観客に感動を与え、さらなる新たな箕自ファンを増やしていくことだろう。今後の活躍にますます期待が高まる。

笑顔日本一

【2015年2月11日 取材】